2021 Fiscal Year Research-status Report
An Analysis of the Relationship between Expansion of Service Sector and Economic Growth
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19K01651
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 啓明 京都大学, 経済学研究科, 教授 (70534840)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済成長 / サービス化 / 公共サービス / 民間サービス / 経済厚生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,公共サービス部門の拡大と経済成長の関係を理論的に分析することである.この問題を扱った先行研究のほとんどは,いずれも生産要素として労働のみを考えており,経済成長モデルであるにもかかわらず資本蓄積を考慮していない.しかし,労働集約的であるとされるサービス業部門においても,機械(資本)は導入されており,今後サービス業部門においてAI化が進むであろうことを考慮すると,モデルへの資本導入は不可欠である.本研究では,製造業部門,民間サービス部門,公的サービス部門からなる3部門モデルを構築し,生産要素として労働と資本を考慮し,さらに,各部門の生産性が内生的に上昇するように設定する.そのモデルを用いて,民間サービス部門および公共サービス部門の拡大と経済成長の関係を分析する.このような試みはこれまで行われておらず,本研究は先駆的な研究であると言える.
本年度の当初計画は,初年度に構築した基本モデルを拡張し,解析的手法と数値シミュレーションによる分析を行うことであった.基本モデルでは,民間サービスは個人向けサービスであったが,拡張モデルでは,民間サービスは個人向けサービスのみならず企業向けサービスとしても提供される.そして,この拡張モデルを用いて,サービス化と経済成長の関係を分析し,得られた研究成果は,前年度と同様に,学会報告と国際学術誌への投稿・掲載という形で公表することであった.
本年度の実績としては,拡張モデルの原案を構築し,実際に分析可能であるかどうかを検討した.その結果,現在のままでは解析的分析が困難であるため,モデル構築等においていくつかの改善が必要であることがわかった.改善案を探るための情報収集として,少ないながらも学会への参加やセミナー開催を通じて,新たな知見を得た.これらの成果は今後の拡張モデルの改善に役立てる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大が収束しておらず,国内・国外の学会や研究会への参加が難しかったため,研究成果の報告や情報収集があまり進まず,報告や参加を通じて得た知見を,本研究に反映させることが困難であった.そのため,論文の作成が遅れており,結果として,当初計画にある論文投稿まで進めることができなかった.そこで,研究期間を1年間延長することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長しことにより,時間的余裕が生まれたため,当初計画で予定していた,拡張モデルの解析的分析と数値計算による分析を行う.モデルの改善案はある程度固まっているので,これらの改善案の試行を通じて,実際のモデル構築を進めていく.また,数値計算による分析を行うために,各国の経済データの収集をあわせて行う.収集したデータを用いてモデルのパラメーターを推定し,数値シミュレーションの手法を用いて,将来予測を行う.得られた結果は論文としてまとめ,査読付国際学術誌へ投稿する.この一連の流れが,延長期間における研究の推進方策である.
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Causes of Carryover |
研究の進行がやや遅れたために,次年度使用額が生じた.研究期間を1年間延長したため,この次年度使用額はすべて使用する予定である.具体的には,論文投稿時の英文校正費用と投稿料に用いられる.
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Research Products
(1 results)