2023 Fiscal Year Research-status Report
Incentives for Politicians in Nation-building: A Text Analysis with Assembly Records
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19K01653
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
後藤 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (30732432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 朋子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (50783601)
山崎 潤一 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (80800606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国家建設 / 再選動機 / アイデンティティー形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インドの独立直後の国家建設期に、政治家たちが地域間の利害対立を超越して「国益」の意識を形成し、国家アイデンティティーを醸成した過程を明確化することを目的としている。また、政治家たちが行政能力(state capacity)の向上に必要な投資に対してどのような態度をとっていたのかも分析する。とりわけ2023年度は以下のような分析作業を行った。独立直後のインドにおいて議員の任期がランダムに割り当てられた自然実験を活用し、任期の長短が議員の(1)政策立案における時系列的視座および(2)政策ターゲットの地理的範囲にどのような影響を与えるのかを検証した。議事録を用いたテキスト解析によってランダムに長い任期を割り当てられた議員は、相対的に長期的な視野に立った予算編成や政策提言を行うことが明らかになった。また、任期の長い議員は短い議員に比べて自らの出身選挙区を超えて国家全体を対象とした政策提言を行う傾向も確認された。さらに任期が短い議員は直近にせまった自らの選挙年を念頭に政策スケジュールを考案していることが示唆された。こうした傾向を受けて、次なる分析課題として時系列的視座や政策ターゲットの変化を生み出した要因としてreelection incentives(再選インセンティブ)がどれだけ重要な役割を果たしていたのか追加のデータを収集しつつ分析を行う必要がある。また機械学習の手法を用いてこれまで得られた結果の頑健性も確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は収集したデータに基づき最先端の機械学習の手法を適用しながら分析を行ってきた。一方で分析の前提となる国家建設期のインド政治に関する歴史的背景について歴史資料が限られていることから情報収集に時間を要した。また議員の個人データは公開されておらずインドの国会事務局へ問い合わせてデータを得られるか交渉中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた主要な結果の頑健性を確認する作業が必要となる。具体的には近年発展が目覚ましい機械学習の手法をアップデートして適用する。また本研究ではインド政治および国会運営の歴史的背景について深い理解が必要となる。さらには初期の国会議員の個人属性データや選挙結果が必要となるため、インドの国会事務局を訪問して歴史資料やデータを収集する必要がある。
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Causes of Carryover |
これまでに得られた主要な結果の頑健性を確認する作業が必要となる。具体的には近年発展が目覚ましい機械学習の手法をアップデートして適用する。その作業を行うためのリサーチアシスタントを雇用する財源が必要となる。また本研究ではインド政治および国会運営の歴史的背景について深い理解が必要となる。さらには初期の国会議員の個人属性データや選挙結果が必要となる。しかしながらこれらのデータを保持しているインド国会事務局はコロナ禍以降、データの公開と受け渡しを一時的に中止していた。今回、直接事務局と交渉した結果来年度に直接訪問して歴史資料やデータを収集する許可を得た。したがって次年度にインドを訪問して国会事務局から情報を得るための費用が必要となるため次年度使用額が発生した。
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