2020 Fiscal Year Research-status Report
カナダの連邦・州協調型カーボンプライシング設計論に関する研究
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19K01656
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
川勝 健志 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (20411118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RUDOLPH Sven 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (20737407)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カーボンプライシング / 炭素税 / 排出量取引制度 / 運輸部門 / カリフォルニア州 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画で2年目に行うとして掲げた2つのテーマ(①カナダ各州のカーボンプライシング収入の活用実態と持続可能性、②連邦カーボンプライシング提案と地域排出量取引制度の調整問題)に取り組んだ。具体的には、関連文献・資料のサーベイを行うとともに、研究分担者と適宜ミーティングを行い、互いの進捗状況や現地調査に必要な情報の報告と意見交換、具体的なヒアリング先の選定作業を行った。 以上に基づいて、今年度に予定していた現地調査計画を見直したことが、本年度の主な研究成果の1つである。またその成果の一部は、前年度に「第20回環境税国際会議(GCET21)」で研究分担者とともに報告した論文を同会議の研究叢書に投稿し、掲載された。 もう1つの研究成果として挙げられるのは、9月にオンラインで開催された「第21回環境税国際会議(GCET22)」において、研究分担者とともに報告し、各国でCO2排出量削減が進んでいない運輸部門を対象とした排出量取引制度をすでに導入している米国カリフォルニア州と、2021年に導入が予定されているドイツの事例を研究分担者が以前に構築した「持続可能性基準」に基づいて比較検討し、それぞれの意義と課題を明らかにしたことである。 オンライン開催が幸いし、例年は参加していない国のカーボンプライシングに関する研究者や実務家も参加していたので、限られた機会とはいえ、当日はそうした参加者とも議論・交流することができるなど、研究ネットワークの強化が図れたこともその成果の1つである。GCET22で報告した内容をまとめた論文は、すでに京都大学の再生可能エネルギー経済学講座のディスカッションペーパーとして公表し、現在、同論文をさらに改訂して英文ジャーナルに投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度行った関連文献・資料及び関連ウェブサイトのサーベイで得られた情報や統計データ、オンライン国際会議に参加して得られた情報やそれを機に構築できた国際的な研究ネットワーク等に基づいた成果の一部については、すでに共同研究者とともに「研究実績」で述べた研究叢書や国際会議で公表している。 とはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響によって、本研究において決定的に重要なカナダでの現地調査を断念せざるを得なかった。現地関係者へのヒアリングで得られるはずであった情報や収集すべき資料等を入手できていないという意味で、進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。 今年度は、オンラインでのヒアリング調査も検討したが、調査先として予定していたカナダの連邦政府とアルバータ州政府が連邦の炭素税導入をめぐって最高裁で争っている渦中にあったため、その判決が出てからの方が良いと判断し、調査を次年度に持ち越したことも進捗の遅れの一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、万全の準備をしていたカナダでの現地調査は、次年度も困難であることが予想される。そのため、次年度は現地での調査をギリギリまで探りつつ、できる限り時差等を調整し、調査予定の連邦政府やアルバータ州、オンタリオ州、ケベック州、ブリティッシュ・コロンビア州の関係者にアポイントを取り、オンラインツールを用いたヒアリングを行う予定である。 また、もし万が一、オンラインでのヒアリングさえ困難であった場合には、現地の研究者に本研究の研究協力者として参画してもらい、体制の強化を図る予定である。これによって、現地調査はもとよりオンラインでのヒアリング調査ができなかった場合には、現地の研究協力者に我々が作成した現地調査計画書に基づいたヒアリングを依頼し、その結果を共有することによって、本研究を推進する。 加えて、今年度もオンラインでの開催が予定されている「第22回環境税国際会議(GCET23)」に参加し、申請者と研究分担者がこれまでに構築してきた国際的な研究者ネットワークを活用して、本研究を遂行するための助言を得たい。
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Causes of Carryover |
申請者及び研究分担者が当初、予定していた海外調査が新型コロナウイルス感染症の影響で中止を余儀なくされたためである。 次年度使用額については、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、海外渡航が可能になった場合には、引きつづきカナダでの調査や国際学会での発表のための旅費に支出する予定である。
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[Book] 現代社会資本論2020
Author(s)
森 裕之、諸富 徹、川勝 健志(編著)
Total Pages
336
Publisher
有斐閣
ISBN
978-4-641-16562-5
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