2019 Fiscal Year Research-status Report
南アジア地域における外資系企業が及ぼすスピルオーバー効果についての実証研究
Project/Area Number |
19K01664
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
稲葉 和夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (70117000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 直接投資 / 外資系企業 / スピルオーバー効果 / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、南アジア地域における日系企業製造業の潜在的な国際競争力と地域企業の経済活動に及ぼす効果を実証的に検討することにある。特に、東南アジア諸国、中央アジア諸国での事業活動を比較しながら、外資系企業における直接投資のスピルオーバー効果の実証的な分析を進めている。 初年度の研究としては、研究計画に照らして、1.計量モデル作成のためのデータ分析、および2.南アジア諸国のデータ作成と分析に焦点を絞った。その際、既にデータベースが整備されている東南アジア4カ国(ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア)のスピルオーバー効果の分析を先行的に行い研究成果を2つの論文にまとめ、その一つは出版書籍の1章、他の一つは海外の査読付き雑誌に掲載されている。 対象とする南アジア諸国のうち、バングラデッシュ、ミャンマーは初めての試みということもあり、研究報告を兼ねて、ミャンマーには1回(8月)、バングラデッシュには2回(11月、2020年2月)の出張を行ない、現地の外資系企業、とりわけ日系企業の事業活動状況の調査を行った。出張の際には、当該研究に関連する研究を行っている研究機関(DAIKA、ミャンマー)、および大学(ダッカ大学、バングラデッシュ繊維大学)を訪問し、研究者との研究交流も合わせて行った。 研究成果については、国内におけるセミナー、国際学会においてそれぞれ1回、バングラデッシュダッカの国際学会(11月)で1回報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画は当初の予想以上に進み、研究成果報告のための出張費用が必要となったため、研究資金10万円の前倒しを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究成果に基づき、前半期に南アジアのスピルオーバー効果の推定を行い、従来の研究成果である中央アジア、東南アジアにおける外資系企業の推計結果と比較検討を行う。後半期においては、南アジアにける日系企業の潜在競争力の分析を行う。 研究計画3.計量モデルの構築と推定においては、企業別パネルデータを作成する。研究成果については、国際産業連関分析学会をはじめとする国内外の学会、ワークショップにおける報告・討論結果に基づき、論文やディスカッションペーパーにまとめ、2019年度と同様に海外の査読付き雑誌に投稿する。 研究計画4.南アジア地域における日系企業の潜在国際競争力の分析については、従来の研究成果である欧米外資系企業の事業活動との比較検討を合わせて行う。 なお、2020年度も研究成果報告のために海外での学会報告を予定しているものの、新型コロナ感染が長引いた場合には、そのための出張を2021年度に繰り越すこととする。
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