2021 Fiscal Year Research-status Report
南アジア地域における外資系企業が及ぼすスピルオーバー効果についての実証研究
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19K01664
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
稲葉 和夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (70117000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海外直接投資 / 南アジア / スピルオーバー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の2021年度は、研究自体は順調に進んだものの、国内外での多くの学術会議開催が延期されたため、研究活動成果の報告において制約が生じた。そのような状況下においても、2021年9月のバングラデッシュダッカ大学で開催されたオンライン会議(The 5th International Conference on Business and Economics (Virtual),Dhaka(Dhaka University)にて報告(3編)、2022年3月横浜での国際会議(International Conference of Economic Structures)にて報告(3編)を行うことができた。 研究実績としては、南アジアにおける外資系企業のスピルオーバー効果を他のアジア地域(ASEAN諸国、中央アジア諸国)と比較検討した分析結果が主なもので、2編の論文を公表した。第一はバングラデシュの直接投資のスピルオーバー効果をベトナムのそれと比較した企業レベルの分析である。結論としては、ベトナムでは外資系企業の製造業部門を中心として、垂直的効果の一つである後方連関がみられるのに対して、外資系企業の浸透が限られているバングラデシュでは、水平的効果に限定されていることが明らかとなった。研究成果は、Md.UR Rahman and Kazuo Inaba(2021)にて公表している。 第二は、中央アジア諸国における分析で、東南アジア、南アジアと比較して直接投資の規模が小さいことを反映して、いずれのスピルオーバー効果も検出されないという結果となっている。稲葉和夫(2022)にて研究成果を公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での研究生報告を実施することによって、研究課題の当初の予定が達成できると考えられる。新型コロナ等による研究目的地での入国規制が行われない時期に合わせて研究活動を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施期間(2019-2021年度)において、当初の予定の研究を遂行することができた。ただし、2021年度の海外においての研究成果報告がオンラインのみでしかできなかったことの制約があったことから、今年度は9月までには、海外での研究成果報告を行う。その内容を論文として海外ジャーナルへの掲載を今年中に目ざす。 具体的には、南アジアにおける外資系企業のスピルオーバー効果分析をまとめた原稿をもとに、オーストリア経済研究所にて研究報告と研究交流を行う。討論結果を踏まえた修正原稿をThe Journal of International Trade & Economic Development、ないしはThe Journal of Economic Structureに投稿する。 本研究は、新型コロナ拡大以前の2019年以前の資料に基づく分析にとどまっている。ポストコロナにおける外資系企業の事業活動の展開は、かなり異なっていることも想定される。そのような新しい状況を念頭に置いた今後の研究方向を見据えた研究のまとめを遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度において、基本的には研究予定がほぼ完了したものの、最終研究成果論文における計算結果を再度確認する互助作業として、一定額のアルバイト費用が必要となった。 また、当初予定した研究成果報告が海外での受け入れ研究機関(オーストリア経済研究所)の閉鎖により、2021年度不可能となったことから、2022年度前期での報告を予定している。
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