2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and Applications of an Applied General Equilibrium Model that Incorporates the Strategic Choice of Heterogeneous Firms for Foreign Market Access
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19K01666
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
小山田 和彦 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究グループ長代理 (30450521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 企業の異質性 / 企業の国際化戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、開発中の数値シミュレーション・モデルを使用する際に直面する問題点に対応するための作業を前年度より継続して実施した。その問題点とは、政策立案現場での使用に耐えるための条件として分析対象となる産業部門を自由に選択できるような柔軟性を分析モデルが備えていることが求められるにも関わらず、複数の産業部門が「規模に関して収穫逓増」を示す技術を持つ状況を想定した場合に数値計算が収束せず均衡解が得られないケースが頻発することである。前年度作業の際に6地域5部門程度の小規模モデルを使用して有効性が確認された手法について、より大規模で世界的に広く利用されている「GTAP (Global Trade Analysis Project) モデル」と呼ばれる汎用世界貿易モデルに応用するための作業を実施している。「GEMPACK (General Equilibrium Modelling PACKage)」と呼ばれる計算ソフトウェアの利用を前提とするGTAPモデルに「GAMS (General Algebraic Modeling System)」と呼ばれる同様のソフトウェアを利用して開発した小規模モデル用のプログラムを適用するため、「GTAPinGAMS」と呼ばれるGTAPモデルの派生バージョン用プログラムをまず改変し、それを参考にしながらGEMPACK用プログラムの開発を行うことにした。現在、多くのファイルにまたがって構築されているGTAPinGAMSプログラムのコード解析作業が続いており、解析後の修正作業などを含めた作業時間が不足してきたため、事業期間の延長を申請して承認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模汎用モデルでの実用性テストを実施するための準備作業として「GTAPinGAMS」プログラムの拡張を行うことにしたが、多くのファイルにまたがって構築されている複雑なプログラムのコード解析のために当初の想定をはるかに超えた時間を投入することになってしまった。他方、解決方法が見出せないような困難に直面しているというわけではないため、事業期間を延長して作業を続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
「複数の産業部門が収穫逓増技術を持つと仮定した場合に数値計算が収束せず均衡解が得られない」という問題に対して、モデルが小規模な場合には有効な解決策を見出すことができている。それを、分析対象とする国・地域、および産業部門を自由に選択することが可能な汎用モデルに適用し、モデルが大規模な場合であっても問題なく機能するのかどうか確認する。研究協力者である名古屋市立大学の板倉健教授の手を借りながら、貿易政策の経済効果を分析する際に世界的に利用されている「GTAPモデル」のソースコードを改変する作業を行なう。その一環として、「GTAPinGAMS」と呼ばれる派生バージョン用プログラムのコード解析作業を実施中である。全プログラムの改変が完了した後、シミュレーション実験を繰り返しながら問題が本当に解決しているのかどうか見極めたい。問題解決に至っていない場合にはさらなる対応策を模索し、解決に至ったと判断できた暁にはモデルの挙動を確認する分析に移行する。新型コロナウイルス感染症の弱毒化にともない、今年度は国際会議などに参加する機会も持てそうであるため、専門家との意見交換なども積極的に行って研究を完遂させたい。
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Causes of Carryover |
理由: 新型コロナウイルス感染症の世界的流行が継続し、期待していた感染症の終息にともなう国内外での研究報告および専門家との意見交換を実施することができなかった。国際会議などの多くは対面での開催を見送り、一部はオンラインで開催されたものの時差の関係で日本時間では深夜から早朝にかけての開催となることも多く、参加を見送らざるを得ないケースが殆どであった。
使用計画: モデル開発に関わる技術的な情報を収集するうえで各国の専門家との対面での意見交換が非常に有効かつ重要であることが過去の経験から判明しているため、新型コロナウイルス感染症が弱毒化してきた今年度は、可能な限りセミナーや学会、国際機関や研究機関でのワークショップなどで研究報告を実施したい。
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