2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development and Applications of an Applied General Equilibrium Model that Incorporates the Strategic Choice of Heterogeneous Firms for Foreign Market Access
Project/Area Number |
19K01666
|
Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
小山田 和彦 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究グループ長 (30450521)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 応用一般均衡分析 / 企業の異質性 / 企業の国際化戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、貿易関連政策の立案現場でより実用性の高い情報を提供すべく、異質な企業による国際化戦略 (輸出もしくは海外直接投資) の選択を明示的に考慮した応用一般均衡 (AGE) 世界貿易モデルを開発し、シミュレーション実験を通じてモデルの挙動や性質について明らかにすることであった。Melitz型の異質な企業による国際化戦略選択の数値シミュレーション・モデルへの明示的な導入、シミュレーション実験を通じたモデルの挙動や性質に関する分析、応用例としての具体的な貿易関連政策評価までを一貫してカバーすることにより、精緻な経済効果試算を可能とすることを目標としてきた。しかしながら2つの深刻な問題に直面し、そのうちの1つは2回に及ぶ事業期間延長を経てもなお未解決のまま現在に至る。2つの問題とは、(a) 理論上想定される大小関係を完全に満たすパラメータもしくは外生変数のセットを与えられたデータからカリブレーション法によって導出することができない問題、および (b) 規模に関して収穫逓増を示す技術を持つ産業部門が複数存在する場合に数値計算が収束せず均衡解が得られない問題である。(a) に関しては、2022年度までの作業を通じてある程度有効な対応策を見出すに至った。他方、(b) に関してはベースとなる Helpman, Melitz, and Yeaple (2004) の理論モデルを単純に数値シミュレーション・モデル化する際にも問題が排除できないことが判明したため、2020年度および2023年度に集中してモデルの基本設定の見直しや (紙と鉛筆を使った) 計算作業のやり直しを繰り返し実施した。しかしながら問題解決の糸口を掴むことができず、現在に至っても一定の方向性すら見出せていない。事業終了後も引き続き、問題解決のための努力を続けたい。
|