2021 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study of suicide and death-in-isolation caused by the risk of isolation
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19K01667
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
池田 真介 小樽商科大学, 商学部, 教授 (90598567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自殺リスク / オプション価値 / 電源立地地域対策交付金 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、昨年度に引き続き、市区町村レベルでの自殺リスクを抑える要因として電源立地地域対策交付金に注目した当該データのクリーニングを続行した。市区町村名と数値データについてはあらかた再構成が成されたが、同交付金の用途に関するテキストデータについてはpdfファイルをエクセルファイルに変換する際に大きく乱されており、現在も試行錯誤を続けている。市区町村名と数値データがあれば昨年度行った北海道限定の予備的な回帰分析を全国に拡張できるため、現在は当該データの市区町村情報が年度内のどの時期のものなのかを特定化し、研究代表者が構築した年度末付けの市区町村区分けに基づく自殺データベースへの統合を試みている。
第二に、自殺のオプション価値に関する研究の更新に引き続き取り組んでいる。経済環境を表すモデルのパラメーターが変化した際に、自殺を引き起こす自殺オプション行使境界(Immediate Exercise Boundary)がどのように変化するかを示す感度変数の導出に取り組んでいる。一般的に、権利行使のタイミングが柔軟であるアメリカンオプションに対してある程度明示的には与えられてこなかった。当該研究は自殺研究のみならず金融オプションの理論にある程度貢献する見通しが見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
孤立リスクに関するアンケート調査は既に内閣府で「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」としてある程度のものがなされている。後追いになることを避けるために、本研究では同調査と差別化を図るための質問項目を精査する予定である。この点で昨年度の想定よりは研究進捗が遅れる見通しである。また、本研究では、複数資産に書かれるオプション理論をもとに、孤独・孤立が自殺リスクに与える影響の理論的な把握を行うこと、また電源立地市域対策交付金の市区町村データを活用すること、の2点にも注力したい。これらは理論的な結果の導出やデータ整備といった時間がかかる作業であるため、この点でも研究進捗はやや遅れているという評価である。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロミル社のサービスを用いた孤独リスクと自殺念慮の間の関係に関する質問項目の精査および同社への調査依頼。自殺のオプション理論の完成と研究論文の学術雑誌への投稿。電源立地地域対策交付金データの整備と地域パネル回帰分析の推進。
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Causes of Carryover |
マクロミル社へのアンケート調査が未執行であること、またデータ整理に必須な優秀な研究助手を探しあぐねており、謝礼金が発生していないことの2点があげられる。本年度は少なくとも前者については執行予定である。
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