2021 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化政策および自然環境政策が国際貿易に与える影響
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19K01669
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
生藤 昌子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60452380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境産業政策 / 国際貿易 / 再生可能資源 / 木質バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地球温暖化政策と国内自然環境政策が国際貿易に与える影響を分析することが目的である。化石燃料の代替となる木材バイオマスエネルギーに注目し、昨年度までの中間財バラエティモデルの理論分析に基づき、今年度は、投入物である木材ペレット・木材チップスの国際貿易に関するデータの分析および森林保全に関するデータ収集・整理を行った。推定モデルについては、地球温暖化対策政策と国内自然環境政策の指標となりうる変数を加えた構造重力モデルを構築した。共同研究者であるオーストリア、グラーツ大学のBorsky助教とは毎月1-2回のzoom ミーティングを行い、議論を行なった。 地球温暖化政策に関連する変数は、木材燃料の輸入国・輸出国のそれぞれの二酸化炭素排出量-GDP比率の差を、環境規制を表す要素の大小関係として定義し、データの収集・整理を行なった。一方、国内自然環境政策の水準については、輸入国・輸出国のそれぞれの保護地域に指定された森林面積の差として定義し、国際連合環境計画の下での世界自然保全モニターリングセンターの245カ国の膨大なデータ収集を行なった。木材燃料の貿易量についてはフランスの経済研究機関CEPIIのデータを用い、最大の輸出地域のうちヨーロッパとアジア諸国は輸出量の約90% を同じ大陸の近隣諸国が輸入しており、北アメリカの輸出の大半はヨーロッパが輸入し、オーストラリア・アフリカは主にアジアに輸出しているが、重力モデルの輸出・輸入国間の距離と経済規模に関する予想と整合的であることを確認した。保護指定された森林面積データの整理の遅れより環境に関する変数を含めた分析までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保護指定された森林面積データに関し、地理的に2カ国の境界付近においてデータがオーバーラップしている場合があり、また保護指定の年代の変動もあり、各国・各期のデータを区別させる作業に非常に多くの時間を費やしたので、初年度に計画していた研究期間内に分析結果をまとめることができなかった。 また、海外の研究協力者とはオンライン・ミーティングを重ねたが、時差などの制限により、直接訪問しあっての議論・研究確認に比べて相対的に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、整理し終わったデータを、構築した推定モデルで分析し、研究目的である地球温暖化政策と国内の自然環境政策が国際貿易に与える影響を明らかにする。研究成果を研究会などで報告し、まずディスカッション・ペーパーとしてまとめ、査読付国際学会誌へ投稿することを目指す。
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Causes of Carryover |
海外共同研究者への訪問と海外共同研究者の日本での打ち合わせの旅費、また国際学会参加のための旅費が執行できず、またデータ収集費用が必要なかったため、未使用が多くなった。また、2020年度も同様の理由で執行できなかった研究費を繰り越したため、次年度使用額が大きくなってしまった。次年度は今年度できなかった海外共同研究者との国内外での打ち合わせを積極的に行いたいと考えており、執行する予定である。また、データ分析のためにデスクトップコンピューターの購入を予定している。
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Research Products
(1 results)