2021 Fiscal Year Research-status Report
Analyzing Economic Effects of Antidumping
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19K01678
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鎰谷 宏一 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50368552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 康信 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (30437280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アンチダンピング関税 / ダンピング / 選挙制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究成果は、以下の通りである。マクロ経済変数とアンチダンピング関税に係る行動(調査開始、ダンピング認定、関税賦課)との関係に関する理論・実証分析の論文”Foreign macroeconomic conditions and antidumping actions: Evidence from the United States”がある海外学術雑誌で「revise and resubmit」となっている。また、選挙制度とアンチダンピング関税との関係に関する理論・実証分析を行った。理論的分析によれば、小選挙区制度の下では、輸入競争財産業が主要産業である地区から多くの与党議員が選出され、それらの議員が与党内で政治的力を持つ場合、アンチダンピング関税は政治的に受け入れられやすい。比例代表制の下では、輸入競争財産業が主要産業である地区において、他の地区よりも有権者が同質的であればアンチダンピング関税は政治的に受け入れられやすい。ただし、これらどちらの選挙制度においてアンチダンピング関税が政治的に受け入れられやすいかは理論的に明示することはできない。実証分析によれば,民主主義国家において,多数決選挙制度、特に小選挙区制を採用している国の方が,比例選挙制度,特に拘束名簿式比例選挙制を採用している国よりもアンチダンピング調査とアンチダンピング関税実施の件数が多くなる。これらをもとに、論文” Electoral systems and antidumping in democratic countries” を執筆した。現在、色々な研究者からコメントをもらいながら修正を施している。まもなく海外学術専門誌に投稿する予定である。さらに、日本のアンチダンピング関税発動の経済的効果に関する分析を行うため、データを集め、現在、推計の試行を行っている。できるだけ早く、この研究の分析を終え、論文を完成させ、海外学術専門誌に投稿するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
執筆した論文のリヴァイズに時間が割かれたことや、所属大学の校務や研究分担者の所属大学の変更などのために時間が割かれたことや、新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって、分析作業の進捗状況に悪影響が出た。さらに、当初は実施する予定になかった研究を行い、論文”Electoral systems and antidumping in democratic countries”を執筆したため、最終年度までに予定していた研究をすべて完成させることが出来ていない。こうした理由のため、研究目的の達成度が当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロ経済の動向とアンチダンピングに係る行動の関係を分析した論文”Foreign macroeconomic conditions and antidumping actions: Evidence from the United States”を海外学術雑誌にアクセプトされることを目指したい。選挙制度とアンチダンピング関税の関係を分析した論文” Electoral systems and antidumping in democratic countries”をできるだけ早く海外学術雑誌に投稿したい。また、「日本のアンチダンピング関税発動の効果に関する経済学的分析」について、できるだけ早く実証分析を完成させ、論文を完成させたい。新型コロナウィルスの感染状況の度重なる変化の影響によって、研究代表者と研究分担者が共同作業を行うのに支障が出ているが、共同作業をうまく進める努力をするとともに、上記の諸研究を滞りなく進めたい。
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Causes of Carryover |
執筆した論文のリヴァイズに時間が割かれたこと、所属大学の校務や研究分担者の所属大学の変更などのために時間が割かれたこと、新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって大学から行動が制限されたこと、当初は実施する予定になかった研究を行ったことなどの理由により研究の進捗状況に悪影響が出たため予算が十分に消化できなかった。日本のアンチダンピング関税の効果の分析に向け作業をすでに進めており、そのための打ち合わせ、文献・資料収集、研究発表、執筆した論文の英文校正などに研究のための残りの予算を使用する予定である。また、予算に余裕があれば、研究で使用する新たなPCのアプリケーションも導入したいと考えている。
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