2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analyzing Economic Effects of Antidumping
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19K01678
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鎰谷 宏一 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50368552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 康信 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30437280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンチダンピング関税 / 政治経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①マクロ経済の動向とアンチダンピング関税の発動の関係、②選挙制度とアンチダンピング関税の発動の関係、③日本のアンチダンピング関税発動の効果、の3点について経済分析を行った。 一つ目の研究では、輸出国のマクロ経済状況が輸入国におけるアンチダンピング関税の実施にどのような影響を与えるかについて分析を行った。実証分析によって、①ある国の経済成長率の高さとある国からの輸入の増加は、その国に対するアンチダンピング調査の実施、ダンピングの判定、ダンピングによる傷害の判定と正の関係があること、②輸出国通貨に対して為替レートの増価は、その国に対するダンピングによる傷害判定にのみ正の関係があることが分かった。 二つ目の研究では、選挙制度がアンチダンピング関税の実施にどのような影響を与えるのかについて分析を行った。実証分析によって,民主主義国家において,多数決選挙制度、特に小選挙区制を採用している国の方が,比例選挙制度,特に拘束名簿式比例選挙制を採用している国よりもアンチダンピング調査とアンチダンピング関税実施の件数が多くなることが分かった。 3つ目の研究は、最終年度に行った研究で、日本のアンチダンピング関税発動の効果に関する実証分析を行ったものである。日本が賦課したアンチダンピング関税が対象品目の輸入に対する効果を分析した。分析の結果、日本のアンチダンピング関税はいやがらせ効果と貿易減少効果をもつことを確認することができたが、貿易転換効果を持つことは確認することができなかった。このことから、日本のアンチダンピング関税政策は、少なくとも短期的には国内産業を輸入競争から保護する役割を持つことが分かった。
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