2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of consistency of political systems and long-term economic growth
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19K01679
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
篠崎 剛 東北学院大学, 経済学部, 教授 (80467266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 昭彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10282873)
濱田 弘潤 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70323954)
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80298504)
加藤 秀弥 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (80434629)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 政治経済学 / 政治制度 / 行動政治経済学 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,政治体制の違いが経済成長に与える影響について,新たな理論的枠組みを構築し,保護主義や所得格差の拡大,財政再建といった先進諸国が直面している喫緊の課題に対して実効性のある政策を提示することにある。2020年度は,これらに関する論文のサーベイを中心に拡張の可能性を研究した。 (1)議院内閣制と大統領制の下での経済成長に与える影響に関する研究について,直接これを比較研究した理論研究は我々が知る限り存在しない。しかしながら,理論的には,Acemoglu, Golosov and Tsyvinski (2011) が最適成長モデルを用いて,Zhong and Zhong (2018) が世代重複モデルを用いて,政治レントに関心のある政治家を導入した場合の最適課税に関する研究を行っている。これらの研究は,議院内閣制と大統領制に関する制約を発見したPersson, Roland and Tabellini (1997) の研究との接合できる可能性があることがわかった。 (2)行動政治経済学的視点についての研究は,本年度は,政治家が自分の任期に強い関心があるPolitical career concern modelについてのいくつかのサーベイと議論を行った。Brollo, Nannicini, Perotti and Tabellini (2013) は政府歳入の増加が政治腐敗と政治家の質に及ぼす影響を分析したものであり,歳入の増加が資源配分を望ましい方向へ必ずしも進ませるわけではないというメカニズムについて明らかにしている。これは,最適支出・税制度について,考えるべき新たな視点を導入する重要な論点であることがわかった。 これらのサーベイのもとで,「大統領制と議院内閣制の国の間で成される租税競争」が最適資本税率に与える影響については本課題内で理論モデルの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
月に2度ほどオンラインにて議論を行い、議院内閣制と大統領制の経済モデルの特徴を整理した結果、既存の静学モデルにおいて考慮されている政治制約を経済成長モデルに組み入れることは、非常に困難であることが明らかになった。他のモデルを使用することも踏まえ、その対処法について検討中であるため、進捗状況が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究方針は,昨年度,十分に行い共有してきた研究のサーベイに基づき,経済成長モデルと政治制度の接合をさらに進めることとする。 静学分析において,Persson, Roland and Tabellini (2000) が大統領制と議院内閣制の違いについて議論を行い,実際にそれを経済成長モデルを使った分析へと拡張したものは我々が知る限り存在しない。しかしながら,実証研究や理論研究においても,大統領制と議院内閣制という政治制度の違いが経済成長に与える影響は注目されており,この理論的進展が必要と考えられている。このうち議院内閣制の下での経済成長モデルを使った分析は,Marsiliani and Renstrom (2007) およびAboal (2020)において詳細になされている。これを比較対象モデルとして大統領制を導入した場合へ拡張することが可能かと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染症により,予定通りの科研費支出がかなわなかったことによる。本年度の状況により,出張および研究会の開催を企画している為,次年度に持ち越している。
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Research Products
(4 results)