2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of consistency of political systems and long-term economic growth
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19K01679
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
篠崎 剛 東北学院大学, 経済学部, 教授 (80467266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 昭彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10282873)
濱田 弘潤 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70323954)
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80298504)
加藤 秀弥 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (80434629)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政治経済学 / 政治制度 / 行動政治経済学 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,政治体制の違いが経済成長に与える影響についての新たな理論的枠組みを構築し,実効性のある政策を提示することにある。2021年度は,これらに関する論文のサーベイを続けただけでなく理論的拡張による分析を行った。 Aihara and Shinozaki (2021) は,本研究を進める中で着想を得て生まれた一つの成果である。議院内閣制を採用する日本において,内閣自体が頻繁に変わるという政治的不確実性がある。また,議員に対する政治的ロビー活動も頻繁に行われている。このような中で公共投資が望ましい水準で行われるかどうかについての研究を,Persson, Roland and Tabellini (1997) の議院内閣制の下での公共支出vs.大統領制の下での公共支出の効率性についての研究を深化させる形で行った。分析の結果,これまで先行研究がDarby, et.al., (2004) およびBohn (2007) によって,政治的不確実性が高ければ政府投資が減少し,政府消費が非効率に増加することを明らかにしてきた一方で,本分析では,そこに逆のベクトルであるロビー活動を加えた場合に,これが緩和される可能性を理論的に示し,政治的不確実性とロビー活動の共存による政治的意思決定の歪みの緩和が日本において生じているかを実証的に明らかにできた。 現在は,さらに昨年から行っている租税競争下での議院内閣制vs.大統領制に関する研究を進めているだけでなく,研究代表者および研究分担者によって,派生した研究(Hamada, Kaneko and Yanagihara (2021), 足立・篠崎・齋藤 (2021),加藤・柳原 (2022),濱田 (2022),柳原・篠崎 (2022),塩津・菅原・柳原 (2022))が生まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は本来であれば研究最終年であり,当初は日伊ワークショップを行うことも考えていたが,新型コロナウイルスの蔓延により十分に集まることができず,1年間の延長申請を行った。これは学会などが対面再開され始めている令和4年度に打ち合わせを重ね,これまで蓄積してきた研究成果をまとめていく形とする。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究方針は,最終年度として,共有してきた研究のサーベイだけでなく,これまで分析してきたものに基づき,経済成長モデルと政治制度の接合をさらに進める。そのために議院内閣制の下での経済成長モデルを使ったMarsiliani and Renstrom (2007) およびAboal (2020)を大統領制を導入した場合へ拡張すること,および,Alesina and Passarelli (2019) による行動経済学の知見を,政治経済モデルに組み込むことで分析をまとめていくこととする。
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Causes of Carryover |
令和3年度はコロナ禍にありましたため,出張費,国際ワークショップにかかわる費用を使用せず,最終年度の令和4年度に持ち越し,有益に使用することといたしました。
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