2022 Fiscal Year Annual Research Report
メディアの情報伝達バイアスと競争政策の在り方に関する研究
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19K01688
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
春日 教測 甲南大学, 経済学部, 教授 (50363461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍倉 学 長崎大学, 経済学部, 教授 (40444872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報伝達 / バイアス / 広告 / 公共放送 / 租税的負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新旧メディアが提供する情報とバイアスとの関係について、現状把握とともに課題を明確にし、競争政策への影響を示唆することである。コロナ禍により実験実施が不可能になった影響で1年計画を延長し以下の2点を中心に研究を行うこととし、この精緻化に取り組んできた。 1つ目は、サステイナブル投資(ESG投資)の選好に関する分析である。コロナ禍で呼びかけられたテレワークはEまたはSとも関連しており、情報通信産業とも関連が深い。昨年は発表だけ行ったが、この論文の精緻化・英文化に取り組んできており、投稿を控えている段階である。2つ目は、二期間モデルを適用した耐久消費財企業の広告戦略分析である。耐久財企業は、オンライン広告およびマスメディア広告という2種類が利用可能であり、異質な消費者を対象とする販売戦略を考える。分析結果では、オンライン広告が競争均衡における消費者と製品のマッチングの総数を増加させることが示される。また企業は、広告戦略の適切な組み合わせによって、広告費用は増加させつつも収益を増加させることを示した。昨年来改訂を繰り返しているが、こちらsの成果については少し先の投稿を考えている。 本課題の代替研究としては、欧州を中心に広がっている公共放送改革を取り上げ、ネット配信も含めた映像メディア市場全体の中での制度設計をどう考えるかを分析した。政策評価・競争評価の事例を説明した後、公共放送に対する私的便益の分析を行い、私的便益の相違に連動した価格差別・サービス差別化を進めることで、公共放送の運営効率化や受信料に占める租税的負担を適正化できる可能性を提示した。
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