2019 Fiscal Year Research-status Report
買収のイノベーション効果の研究:海外企業による日本企業買収の効果に注目して
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19K01689
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
袁 媛 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任准教授 (40609773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 技術移転 / 中国の特許データ |
Outline of Annual Research Achievements |
イノベーションは企業の競争力と一国の経済発展に大きく影響する一方、企業買収の主要な目的の一つは技術・知識などの戦略資産の獲得にある。本研究の目的は二つある。第一が、被買収側の日本企業に所属していた技術者の発明行動の長期パネルデータ、及び買収と被買収企業に関する長期の国際的な特許のパネルデータを構築することである。第二が、買収によるイノベーションのメカニズムと海外企業による買収が持つ特有の効果を明らかにすることである。なかでも、①買収による人材移転と知的財産移転がどの程度同時に行われているか、②買収による共同研究促進、取得権利のグローバル化(例えば国際特許の取得)、③特許の引用状況の変化の3つを明示することを通じて、買収がイノベーション活動に与えた効果の解明を図っている。 2019年度は初年度であるため、以下2点を中心に研究を進めた。第一は、技術ギャップ、産業、技術分野の違いを中心にした、企業買収と技術移転に関する先行研究の調査である。これは、上記要素の差異に応じて、買収がイノベーションに与える影響が異なる可能性があることを踏まえ、より詳細かつ多面的に分析を進めるために行った。第二は、発展途上国の代表と言える中国の特許データについて、名寄せ、データのパネル化などの整備を実施した。これは、本研究の目的の一つである、先進国と発展途上国のどちらによって日本企業が買収されたかの違いに対して生じる日本人技術者への影響を明確化するための作業である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
妊娠、出産、産後育児のため、研究に従事できない期間があり、進捗に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下五点について順次着手する予定である。 第一は、M&Aデータベースと特許データベースを用いて、M&Aを行った企業の技術者を抽出した上でデータベースの構築を行い、テキストマイニングの手法でデータベースの精度の向上を試みることである。第二は、研究仮説を練り直したうえ、より洗練された計量経済モデルの構築を行うことである。第三は、予備的な実証分析(例えば、発展途上国による日本企業の買収)を試みることである。 第四は、発展途上国による日本企業の買収のみならず、先進国企業による日本企業の買収も含め、実証分析を行うことである。第五は、実証分析の結果に基づき、研究論文を執筆することである。
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Causes of Carryover |
本研究を進めるためには、最新データを用いる必要がある。具体的にレコフM&Aデータベース、中国の特許データベースを更新するに、使用する。
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