2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01690
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
橋口 善浩 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究員 (40432554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人的資本 / 社会的収益率 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では,2019年度は企業データの収集とクリーニングを行う予定であった。具体的には,1996年,2006年,2016年の企業センサスデータおよび大中製造企業センサスデータを入手し,3時点の企業パネルデータを作成することを計画していた。しかし,インドネシア統計庁による2016年データの販売開始が遅れており,2019年度に入手できなかった。そこで予定を変更し,1994年から2015年までの22年分の大中製造企業センサスデータを入手し,長期企業パネルデータを作成した。2016年データの入手の目途が立たないため,2020年度はこの長期企業パネルデータと1996年・2006年の2時点企業センサスデータを使って,人的資本の社会的収益率の計測を試みる予定である。また,人的資本ストック変数に対する操作変数を作成するために,オランダ統治時代の人口センサスデータ(Volkstelling 1930: Census of 1930 in the NetherlandsIndies)の入力およびクリーニングを行った。このセンサスデータには,詳細な統計地図情報が含まれているため,その情報をGISソフトウェアで読み込み,デジタル化する方法を調査した。2019年度はデジタル化の方法論を学習し,それに必要なソフトウェアをそろえた。2020年は1930年人口センサスのデジタル化作業を開始する予定である。2019年度は上述の企業データベースの拡充作業をおこなう一方で,作成した長期企業パネルデータをつかって,産業集積が景気変動に与える影響を分析し,ディスカッションペーパーとしてまとめた(Hashiguchi and Higashikata, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年の経済センサスデータの販売開始が遅れているため,2019年中に3時点企業パネルデータ(1996・2006・2016年)の作成はできなかった。その代わり,1994年から2015年までの22年分の大中製造企業センサスデータを入手し,長期企業パネルデータを作成した。2020年度は,この長期企業パネルデータと2時点(1996・2006年)の経済センサスデータを活用して,人的資本の社会的収益率の計測を試みる予定である。また,人的資本ストック変数に対する操作変数を作成するために,オランダ統治時代の人口センサスデータ(Volkstelling 1930: Census of 1930 in the NetherlandsIndies)の入力およびクリーニングを行った。このセンサスデータには,詳細な統計地図情報が含まれているため,その情報をGISソフトウェアで読み込み,デジタル化する方法を調査した。2019年度はデジタル化の方法論を学習し,それに必要なソフトウェアをそろえた。2020年は1930年人口センサスのデジタル化作業を開始する予定である。一方,既存研究の文献を調査し,人的資本の社会収益率の計測に関する方法論や分析結果について整理した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は以下2つの作業をおこなう。第1に,人的資本ストック変数に対する操作変数を作成する。具体的には,1930年の人口センサスデータと統計地図情報をつかって,当時の欧米人の地理分布を変数化・デジタル化する。第2に,この欧米人の地理分布を操作変数として利用し,昨年度に作成した企業パネルデータをつかって人的資本の社会的収益率を計測する。2021年度は分析結果をまとめ,成果の発表をおこなう。
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Causes of Carryover |
2019年度はデータベースの拡充作業が当初の計画よりも早く進んだため,予算の前倒し請求を行い,統計ソフトウェアを購入した。このソフトウェアを使用して,当初の予定よりも早く統計分析を開始している。前倒し請求をしたため,予算の繰り越しが発生したが,その繰り越し分は2020年度の助成金とあわせて,当初の予定通り,出張費・物品費に割り当てる計画である。
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