2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01690
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
橋口 善浩 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究員 (40432554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人的資本 / 社会的収益率 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では,2020年度は以下2つの作業をおこなう予定であった。第1に,人的資本ストック変数に対する操作変数を作成する。具体的には,1930年の人口センサスデータと統計地図情報をつかって,当時の欧米人の地理分布を変数化・デジタル化する。第2に,この欧米人の地理分布を操作変数として利用し,昨年度に作成した企業パネルデータをつかって人的資本の社会的収益率を計測する。しかし,実際には,第1の作業,すなわち,地図情報のデジタル化の作業にほとんどの時間を費やした。新型コロナウイルス(COVID19)の影響で在宅での作業がメインとなったため,研究所のハイスペックPCおよび地理情報管理(GIS)ソフトの利用頻度が大幅に減少し,第1の作業に多くの時間を費やしている。また,インドネシアの新たな地図情報がライデン大学のデジタル・コレクション・サイトから利用できることが判明したため,それを活用することも視野に入れて作業を現在進めている。このように,地図情報のデジタル化と操作変数の作成作業を進める一方で,1994年から2015年までのインドネシア製造業企業パネルデータをつかって,企業の全要素生産性とMarkups(独占度)率の推定をおこない,経済集積との関係を分析した。昨年度中に論文として発表する予定であったが,5月のワークショップで報告機会が得られたため,コメントや批判を論文に反映させてから発表することにした。現在,共同研究者とともに分析結果を再度整理している段階である。5月のオンラインワークショップで研究報告をおこない,その後,まずはディスカッションペーパーとして出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人的資本の社会収益率を計測するためには,人的資本ストック変数に対する操作変数を作成する必要がある。具体的な作業としては,1930年のオランダ統治時代の人口センサスデータ(Volkstelling 1930: Census of 1930 in the NetherlandsIndies)とその統計地図情報をつかって,当時の欧米人の地理分布を変数化・デジタル化することで,操作変数を作成することを計画している。しかし,COVID19の影響で在宅での作業がメインとなったため,研究所のPCおよび地理情報管理ソフトの利用頻度が大幅に減少し,作業の進捗は芳しくない。一方で,既存研究の調査および地図情報の収集は継続している。今年4月には,ライデン大学のデジタル・コレクション・サイトからインドネシアのデジタル古地図が利用できることが判明し,それを活用することも視野に入れて作業を現在進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の2つの作業をおこなう。第1に,昨年度に引き続き,地図情報のデジタル化と操作変数の作成作業をおこなう;第2に,この操作変数を利用して,昨年度に推定した企業レベルの生産性をつかって人的資本の社会的収益率を計測する。その研究成果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
2020年度の予算は国内外の出張に割り当てる予定だったが,COVID19の影響により出張を自粛したため,予算の繰り越しが発生した。また,人との接触を避けるため,アルバイトの雇用も自粛したことも,予算繰越に影響している。2021年度も出張およびアルバイトの雇用は困難と予想されるため,繰り越し分は論文の英文監修費と物品・図書購入費等に割り当てる予定である。
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