2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01697
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 毅 九州大学, 経済学研究院, 教授 (40458485)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 財政分権化 / 市町村合併 / 人口成長 / 選好の異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、地方政府の合併と人口成長に関する実証分析を行った。 第1に、合併が人口成長に与える影響を理論と実証の両面から分析した。理論面では、地域の社会的厚生の違いによって合併後に人口移動が生じるモデルに加えて、最近の都市経済学分野で用いられている移住均衡モデルを用いて合併によって近郊における人口分布がどのように変化するのかを分析するモデルを開発し、合併後合併後の人口移動の様相について検討した。分析の結果、社会的構成の違いにより人口移動が生じるモデルとほぼ同様の結果を得ている。 一方、実証分析では、約180万サンプルから成る、日本の国勢調査における市町村レベルの1対1人口移動データを用いて、理論から導かれた仮説およびどのような特徴を持つ市町村で人口が成長しているのかを検証した。分析の結果、合併した地域では人口が増加していること、純人口流入と人口流入および人口流出では説明変数の影響が大きく異なり、合併による影響は純人口流入のみであること、特に未就業者は合併による人口増と所得増に正の反応を示すこと、福祉や生活保護は純人口流入を減少させること、義務教育支出は若年人口に正の影響を及ぼすが福祉や生活保護は影響を与えないこと、老年者は義務教育には反応せず生産的な公共財には負の反応を示すことなどが明らかとなった。 この研究は、夏には世界最大の財政学に関する学会である国際財政学会(2023IIPF)、世界的に一流の経済学会であると認められているEEA-ESEM 2023(計量経済学会欧州大会)で報告した。
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