2021 Fiscal Year Research-status Report
An Economic Analysis of the Impact of Female Labor Supply on an Aging Japan within an Integrated Dynamic and Static Computable General Equilibrium Model with the Input-Output Table
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19K01704
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
加藤 竜太 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (60242971)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人口高齢化 / 産業連関 / 産業間労働移動 / 数値解析的一般均衡モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
静学的CGE(数値解析的一般均衡)モデルと動学的CGE(数値解析的一般均衡)モデルの融合し、その融合モデルをさらに精緻化した。静学モデル部分では、医薬品産業、医療サービス産業、保健衛生、社会保険・社会福祉、介護サービス産業と言った高齢化の影響を強く受けると考えられる5つの産業への効果に議論を集中した。また、動学的CGEモデルの部分においては、2021年7月発表の『中長期の経済財政に関する試算』(内閣府:2021年7月 経済財政諮問会議提出)に基づいた最新の将来に関する経済見通しを前提とした状況をモデル内で仮定し、政府が予想する将来の経済状況を可能な限りモデル内で再現した。得られた結果は以下の通りである。第一に、『中長期の経済財政に関する試算』(内閣府:2021年7月 経済財政諮問会議提出)での前提を考慮しても2036年以降ではGDPは減少する。これは総人口の減少がすでに始まっており、将来も総人口が減少し続けるからである。第二に、二〇三六年以降はGDPは減少するものの、高齢化と直接関係のある上に述べた5つの産業の産業別のGDPは増加し続ける。「医療サービス」産業では2050年まで、「社会保険・社会福祉」産業では2057年まで、「介護保険」産業では2047年まで、「医薬品」産業では2066年まで、「保健衛生」産業では2059まで産業別のGDPは増加し続ける。第三に、「介護保険」産業では2018年に334万人の労働が必要とされているが、これが2049年には391.2万人まで必要となる。第四に、これら5つの産業間の労働移動においてスムーズな移動が阻害された場合、GDPにマイナスの影響がある。しかしながら、「医療サービス」産業における労働移動が阻害された場合、強い代替効果のために「医薬品」産業では逆にプラスの経済効果をもたらす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年の初めから始まったコロナウイルスの影響で海外における研究発表、ならびに国内における意見交換などが一切できなくなり、国内外の研究者からのフィードバックが思うように進んでいない。できる限りオンラインを使った方法で意見交換やフィードバックを今後進めるように、努力する。特に海外における学会などでの発表の機会がない中、できる限りの方法で研究を発展させていきたい。また、女性労働の分析を今後は積極的に取り込んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
静学的CGEモデルと動学的CGEモデルの融合に成功したので、未だ精緻とは言えない労働供給、特に女性労働供給のモデルへの取り込みを精力的に行う予定である。また、データ、特に産業連関表を最新のものに取り換え、新たにパラメータ値の設定を行う予定である。また、長期的分析のところでは最新の『中長期の経済財政に関する試算』(内閣府:2022年 経済財政諮問会議提出)のデータで置き換えたい。 一方、コロナウイルスの状況が全くわからない状況が続く中、今後どのように国内外の研究者からのフィードバックを得るかが問題である。現時点では国内外での研究発表の機会がオンラインに限定されているが、可能な限り実際に国内外の研究発表の機会に直接参加し、積極的に意見交換を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス拡散の中、国内外での発表の機会を全て失い、予定していた旅費の支出がゼロとなるなど、大きな予定変更を余儀なくされた。一方、2022年度は今後のコロナウィルスの状況が未だ確定しない中、国内外での発表の機会が再開するとの想定の下、国内外での発表をさらに増やし、多くの研究者からのフィードバックを得ることを期待したい。
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