2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K01705
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
飯田 善郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (50273727)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済実験 / 社会的ジレンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は引き続き連続時間社会的ジレンマの実験検証の研究計画を遂行することを目指した。前年度の研究から論文をまとめ投稿を行ったが、改善の必要性を指摘され、追加の実験を計画したが、コロナの影響もあって被験者の集まりが思うようにゆかず、科研の延長を申し出、検証を次年度に持ち越すこととなった。 一方、過去のデータの蓄積から、公共財実験における研究においてIsaak, Andrew, Christiane Schwieren, and Yoshio Iida. "Reaching agreement on contribution behavior in different cultures-a public goods game with representatives in Japan and Germany." Journal of Behavioral and Experimental Economics 99 (2022): 101894.として発表することができた。これは小集団の代表者のみが全集団にかかわる公共財への貢献度を決める公共財ゲームの意思決定者になれるという形の社会的ジレンマ状況の下でのドイツと日本の被験者行動を比較したもので、ドイツでは、合意形成に時間がかかる日本人に対して、見知らぬ人の協力性を信頼しやすく、集団の合意形成が早く、プレイ前のコミュニケーションでの議論や戦略策定が早いことがわかった。これは小集団の代表者が公共財に投資する際の集団形成と行動における異文化間の差異についての理解に貢献し、異文化間のマネジメント、交渉、リーダーシップへの示唆を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経済実験という研究の性質上、被験者を集める必要があるが、2022年度においてはまだコロナの影響が大きく、対面授業は少人数の授業がほとんどで、学生があまり大学に来ない状況のうえ、昨年度に参加した学生は同種の実験に参加できないため、告知などで募集の努力をしたものの思うようにデータを集めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は全面的な対面授業になるため、募集に関しては改善が期待できる。現状募集業務のアルバイトの人員確保などで懸念があるが、適宜対処して検証に足るデータの蓄積を進め、分析と論文としての発表に努めたい。
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Causes of Carryover |
経済実験の謝金が研究経費の主な使途であるが、募集に関する各種の努力にかかわらず、思うほども被験者を集めることができなかった。コロナによっていまだに多くの学生が集まる大教室の授業がオンラインのままであり、学生が大学に来る頻度が低かったこと、前年度にも実験を行ったため、2年次以降の潜在的な参加者がそこで大半集めてしまったことが要因と考えられる。 2023年度は全面的に対面授業となるため、募集の環境をなるべく早く整えて計画した実験を実施しデータの蓄積、分析を進めたい。
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