2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01706
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木村 寛子 (奥平寛子) 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (80550954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報の非対称性 / 新卒労働市場 / 採用 / 希望退職 / レイオフ / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
深夜残業があるか、昇進に男女差別があるか、といった企業内の労働環境に関する情報(以下、企業内情報)の非対称性を解消することは、求職者だけではなく、社会全体の厚生を改善させる可能性がある。企業内情報が公開されることにより、求職者が条件の悪い企業への応募を避けるようになり、結果として、長時間残業や男女差別の深刻な企業を労働市場から淘汰することができるかもしれないからだ。本研究では、労働環境に関する情報の非対称性が解消されることによって、①求職者の応募行動が変化したり、②労働環境がどの程度まで改善されたりするのかを統計的に検証する。
最終年度までの分析により、複数の政府統計調査データを用いて女性活躍推進法の成立の影響について推定を行い、情報の公開が事業所アウトカムに与える影響を確認した。現在も、共同研究者とともに分析を進めている。成果がまとまり次第、論文を公表する。希望退職に関する適時開示情報の影響を検証する研究では、国内外の複数の学会やセミナーで報告を行うとともに、成果をディスカッションペーパーとしてまとめ、国際査読誌に投稿・改訂中である。希望退職を実施する企業にとっての懸念点として、蓄積された人的資本の喪失が考えられる。本研究では、日本の製造業セクターの行政データを用いて、希望退職の情報開示が従業員の年齢および勤続年数の分布にどのような影響を与えたかを探った。分析の結果、希望退職の実施により、若年従業員の自発的離職が起こり、結果的に従業員の年齢層が高くなること等が明らかになった。
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