2020 Fiscal Year Research-status Report
税情報公開が納税行動に与える効果のABMに基づいたシミュレーション分析
Project/Area Number |
19K01712
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
佐野 博之 小樽商科大学, 商学部, 教授 (60301016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱税 / 税のコンプライアンス / 心理的費用 / ABM / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度までに行った先行研究のサーベイとABMに基づいたシミュレーション・モデルを用いて、実際にシミュレーションを行ない、結果を論文としてまとめ、学会等での発表と査読誌への投稿・掲載を計画していたが、コロナ禍により計画はほとんど前進しなかった。 脱税研究はアリンガムとサンドモによる理論モデル(ASモデル)に端を発するものであるが、これが注目された理由は、その後の実証研究の結果とASモデルの結果がいくつかの点で矛盾するからであった。多くの実験研究は、納税者が金銭的動機だけでなく、非金銭的動機に基づいて行動しているという証拠を示すことによって、この矛盾を説明している。ABMを用いたシミュレーション研究は、これらの実験研究の結果を補完するものであるので、先行する実験研究を把握することがこの研究テーマにとって重要である。したがって、この1年間は、より良いシミュレーション・モデルを構築するために、多数の脱税に関する実験室実験やフィールド実験の論文を再度精読し整理することに限られた時間を費やした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの影響で遠隔授業への対応に迫られ、教育に費やす時間を大幅に増やさざるを得なかった。また、学内のFD活動を担う役職に就いているため、私個人だけでなく大学全体の遠隔対応のための活動にも時間を費やしたため、研究を進める時間を大きく削らざるを得なかった。さらに、学会や研究会で発表する機会も極端に限られたため、当初の計画を進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度であるが、1年延長する予定である。今年度はシミュレーション・モデルをより良いものに再構築してシミュレーションを行い、論文にまとめ査読誌に投稿する。今年度の学会や研究会等での発表は、開催状況を見ながら、対面で行われるようになれば、参加して発表する。さもなければ、来年度に発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会や研究会等が中止かオンラインになり、それらに参加するための旅費等への支出がなかったため。加えて、他の業務に割く時間が大幅に増えたことから論文を完成させることができず、専門誌への投稿にかかる準備に支出することができなかったため。
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