2020 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analysis of Migration
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19K01713
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 久裕 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00335390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 移民 / 労働市場 / 南アフリカ / 経済成長 / 賃金 / 失業 / EU脱退 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は以下のような研究を行った。
1.移民受け入れは、世界各国において、政治的に重要な議題になっている。イギリスは、国民投票を経てEUから脱退したが、その時に脱退を支持する議論の一つは、EUは、労働の域内自由移動を政策の柱にしているため、EUに属したままでは、東欧からの移民を止められず、イギリスの経済に悪影響を与えるというものであった。イギリスにおける移民受け入れが、イギリスのEU離脱の国民投票にどのような影響を与えたのかを、各選挙区における脱退賛成投票率、移民比率、その他のコントロール変数を使い、2段階最小二乗法を使い推定した。操作変数には30年前の産業構造を用いた。推定の結果、移民の増加は、国民投票の結果に影響を与えないことが分かった。また分析から、有権者は、移民が少ない場所では移民の数を過大に評価し、移民が少ないところでは過少に評価していることが分かった。またこの移民の数の認識の誤差は、年齢と教育に大きく影響を受け入れることが分かった。このことは、投票に影響を与えたのは、その地域における移民数の大小ではなく、その地域における有権者の平均年齢、平均教育年数であることを示している。この論文を、Economic Journal, European Economic Association, Journal of Public Economicsに投稿し、現在改定中である。
2.南アフリカ共和国における、移民受け入れが所得および雇用に与える影響。 1994年の南アフリカにおけるアパルトヘイト廃止後、南アフリカ共和国は、積極的に周辺国から移民受け入れを行っている。ジンバブエにおけるハイパーインフレを自然実験として、南アフリカにおける急速な移民受け入れが所得・雇用にどのような影響を与えるかをセンサスデータを用いて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスによって、大学での教育状況研究状況が変化し、研究のために取り組む時間を十分とることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.総務省に日本の移民データ、生産性データの使用を申し込み、分析を行う。 2.イギリスにおける移民受け入れと投票の関係の論文の修正を行い再投稿する。 3.南アフリカにおける移民の分析を完成させる。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナが発生し、そのために計画が大幅に変更になった。授業のやり方が変わってしまったため、大幅に授業準備に時間を費やさざるを得なかった。そのため計画した研究を進めることができなかった。またコロナのため、参加予定の国際学会が中止になったため参加できなかった。2021年度は、コロナ禍でも実行できる研究を行っていく。2021年度は、国際学会がオンライン形式で行われるようになっているのでそれに参加していくようにする。またコロナ禍で行えなかった総務省への個票データの申請を行う。
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