2019 Fiscal Year Research-status Report
雇用の質を考慮した地域・企業規模間等の定量的な雇用の波及過程と効果の研究
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19K01721
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
風神 佐知子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 准教授 (00510851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 正寛 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (80281872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テレワーク / 雇用創出 / 地方 / 生産性 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大企業や都市部での雇用が、中小企業や地方の雇用創出に過程を含めどのように波及しているのか、波及が止まるのであればその要因は何か、従来の数量のみに着目した研究ではなく、雇用の質を考慮し、新たな働き方であるテレワークや副業が波及に与える影響や、賃金や消費面からも検証することを目標としている。2019年度は、先に、新たな働き方であるテレワークが波及に与える影響として、(1)そもそも働き方を変えるだけで生産性は上がるのか、(2)上がるのであればどのようなメカニズムで生産性が上昇するのか、そして、(3)地方や女性・高齢者の労働市場にどのような影響を与えるのか、を分析した。その結果、(1)週当たり1時間テレワーク時間を増やすと、160円、年間約34万円ほど生産性を上げる、(2)テレワークは生活満足度を上げ、生活満足度の上昇が生産性を上げる。しかし、テレワークは仕事と家事の両立のストレスを上げ、ストレス自体は直接には生産性を下げないが、生活満足度を下げる。特に通勤1時間以上や混雑の予測される電車やバス通勤者、職場で仕事の中断が起きやすい者にテレワークの効果は高い。(3)移動が働き方を決めるよりも、働き方が移動を決めており、テレワークにより都会から地方への流入を増やすよりは、テレワークにより地方から都会へ流出するのを防ぐ効果の方が大きい、高齢者には顕著な効果はみられないが、テレワークにより女性の就業を促す可能性が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、大企業や都市部での雇用が、中小企業や地方の雇用創出に過程を含めどのように波及しているのかについて既に分析を進めており、一部の結果を2020年the EALE SOLE AASLE World Conferenceで報告予定である(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインになる可能性あり)。
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Strategy for Future Research Activity |
企業や都市部での雇用が、中小企業や地方の雇用創出に過程を含めどのように波及しているのかについての分析手法は、当初予定していた連関表を用いた方法から、Moran’s Iなど空間的偏りの推計や、回帰分析・操作変数法を用いた分析など計量的な分析に変更する予定である。
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Causes of Carryover |
為替変動分などを考慮し、研究代表者と研究分担者がともに数千円ずつ余力を持って使用したため、僅かに次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせ、英文校閲や統計ソフトなど研究に必要なものに使用する。
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