2022 Fiscal Year Research-status Report
退職前後の高齢者の生活水準についての応用ミクロ経済学分析
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19K01729
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
暮石 渉 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第3室長 (00509341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 緑 東北大学, 経済学研究科, 教授 (60364022)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 貯蓄 / 社会保障 / 時間割引 / 家族経済学 / 応用計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然実験的な震災ショックである東日本大震災の発生を利用し、不利な経済状況が夫婦関係の解消(離婚)や家計内の資源の再分配に及ぼす影響を研究するには、多角的な視点と広範なデータの分析が必要である。 本研究では、厚生労働省・文部科学省が提供する「21世紀出生児縦断調査」という大規模長期パネルデータを利用した。この調査を用いることで、震災の逆ショックが特に影響を受けやすい夫婦に焦点を当て、彼らが短期的および長期的に離婚しにくい傾向を明らかにした。 本研究の結果によれば、震災の影響をより強く受けた夫婦は、幼い子どものいる共働き夫婦であり、専業主婦世帯や子どもや成長した子どものいない夫婦に比べて、離婚率が低いことが分かった。これは、妻が震災による収入減を経験する傾向が強いため、このような効果が発生することを示唆している。 さらに、限定的コミットメントを持つ集団的家計モデルを使用し、これらの結果が所得喪失のある女性にとって、外部オプションである離婚の価値が著しく低下することを理論的に説明することを試みている。経済的理由から、女性たちは結婚に固執し続ける傾向があるという示唆する。 また、このモデルは離婚しない家庭において、夫から妻への家計内資源の再配分を予測することも可能である。例えば、夫が高収入の仕事に就くことで、妻の収入減を補うことができる。このような再配分によって、家庭の余暇時間が増え、家庭内での生産時間が短縮され、個人消費が増加するという効果が期待される。このような効果は、家庭内の資源再分配によって夫婦関係を安定化させることに貢献する可能性がある。 総じて言えば、東日本大震災を通じて得られた結果と限定的コミットメントを持つ集団的家計モデルの活用により、経済的な要因が夫婦の関係に与える影響を理解する上で重要な知見を得ることができ、将来の災害対策や支援策の構築に役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然・実験的な震災ショックである東日本大震災の発生を利用し、不利な経済状況が夫婦の解消(離婚)や家計内の資源の再分配に及ぼす影響を研究する。大規模長期パネルデータである厚生労働省・文部科学省「21世紀出生児縦断調査」を用いて、逆ショックの影響をより強く受けた夫婦は、短期的にも長期的にも離婚しにくいことを明らかにする。 本研究では、このバンドル効果は、専業主婦世帯や子どもや成長した子どものいない夫婦に比べ幼い子どものいる共働き夫婦において、妻が震災による収入減を経験する傾向が強いことが原因であると結果を得た。そして、限定的コミットメントを持つ集団的家計モデルを基に、これらの結果は、所得喪失のある女性にとって、外部オプション(離婚)の価値が著しく低下することによって理論的に説明できると主張し、経済的理由から結婚に固執していることを示唆する。また、このモデルは、離婚しない家庭において、妻から夫への家計内資源の再配分を予測する。夫が高収入の仕事に就くことで、収入減を補い、余暇時間の延長、家庭での生産時間の短縮、個人消費の増加によって補われるというものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、共働き夫婦において、特に妻が震災による収入減を経験する傾向が強いことが原因で被災地域で離婚が減っているという結果を得ているが、それ以外の要因(例えば、住宅資産の価値など金銭的なものや、夫婦や親子、家族の間の絆といった情緒的なものなど)ではないということを、データで示す。また理論的な背景と実証分析のつながりを説明していく。なお、本研究は2023年度に国内・国外のさまざまな大学や研究機関で報告し、改訂を経て、査読付海外雑誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの渡航制限により海外での打ち合わせがオンラインになった
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Research Products
(2 results)