2019 Fiscal Year Research-status Report
The Determinants of Banks' Capital Structure in A Dollarized Economy
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19K01732
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
奥田 英信 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任教授 (00233461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カンボジア / 商業銀行 / 資本構成 / 競争度 / ドル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)カンボジア現地調査:2019年9月11日から15日まで、プノンペンで現地調査を行い、カンボジア国家銀行(NBC)、邦銀支店、地元銀行、マイクロファイナンス関係機関、コンサルタント会社で面談を行い、研究内容と研究方法に関して聴き取りと意見交換を行った。また、銀行関係者に対するセミナーとカンボジア経済学会(Cambodia Economic Association)の開催したコンファレンスに参加し、本研究の目的と国内作業による暫定的な計量分析結果について報告し、参加者と討議を行った。 (2)データベース作成:中央銀行の公開データベースから計量分析に利用する過去10年間の銀行ミクロ・データベースを作成した。データに関する疑問点について、現地調査においてNBCで聴き取りを行い、今後の作業の方針について意見交換を行った。 (3)暫定的な分析結果の発表: カンボジアの主要商業銀行の資本構成の決定要因に関する計量経済分析を行ない、現地調査の成果も踏まえて暫定的な推計結果を取りまとめ、奥田・潘・胡(2020)「カンボジアの銀行資本構成の決定要因:高度ドル化経済の実証研究」カンボジアの銀行資本構成の決定要因:高度ドル化経済の実証研究」一橋大学経済学研究科ディスカッションペーパーNo.2020-03を作成した。商業銀行の資本構成の決定要因と関連する研究テーマとして、カンボジアの銀行業の市場競争度の計測を行った。その暫定的な分析結果を取りまとめ、金融学会2019年秋季大会で奥田・葉・竹田「カンボジア商業銀行の市場競争度:2007-2017年期のBoone指標の計測」を報告し、研究者との意見交換と討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年の研究計画では、3つの作業課題、即ち (a)現地調査として、カンボジアの中央銀行、商業銀行、銀行協会の関係者を訪問し聴き取りと意見交換を行うこと、(b)データベース作成として、中央銀行のデータベースから計量分析に利用する過去20年間の銀行ミクロ・データベースを作成すること、(c)暫定的な分析結果を発表するため、銀行の資本構成の決定要因に関する計量分析を行ない、その成果について学会報告を行なうことを、予定していた。 第1の作業課題については、現地調査を実施して予定していた関係者と面談を行い、意見交換と聴き取りを行うことができた。第2の作業課題については、過去10年間の主要商業銀行のデータベースを構築し、計量分析に利用できる基礎的データを整理することができた。第3の作業課題については、主要商業銀行の資本構成の決定要因について試行的な計量経済分析を行い、その成果を今後の討議と意見交換に利用するためのディスカッションペーパーに纏めることができた。 以上の進捗状況から判断して、令和1年度の研究計画は概ね達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年度の研究が概ね予定通りに進んだことから、令和2年度の研究計画では、当初の予定に従って、3つの作業課題を行いたい。 即ち、第1に、現地調査として、暫定的な分析結果に基づいて意見交換を行ない追加資料を収集する。 第2に、データベース作成に関しては、データベース更新と補正に必要な追加的データを追加する。 第3に、暫定的な計量経済分析結果を発表するため、商業銀行の資本構成の決定要因の推計に改良を加えるとともに、関連する研究課題として費用効率性と市場競争度の推計も進める。また、これらの分析結果について学会報告を行ない、進捗状況に応じて、順次、研究論文に纏めて学会誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2019年9月11日から15日までカンボジア行った現地調査の経費を、本研究と関連性がある日本国際協力機構研究所の調査費用で、賄うこととができた。 令和2年度は、国内で行う計量分析および論文作成のための作業と、カンボジア現地調査で行うデータの追加収集および暫定的分析結果に関する意見交換とを、相互により密接に関連付けて進めるため、現地調査の回数を増やして効率的に研究を実施したい。また、現地調査の回数が増えることから、これに対応できるように国内でのデータ解析作業や英文校閲サービスへの支出も当初の計画より必要額が増えると見込まれる。 現地調査と国内準備作業の両方の費用が増加すると予想されるため、その経費として令和1年度からの繰越費用を利用したい。
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Research Products
(2 results)