2019 Fiscal Year Research-status Report
金融機関のガバナンス改革と地域経済の持続可能性に関するミクロ計量分析
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19K01734
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大熊 正哲 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (60507987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域・中小企業金融 / コーポレート・ガバナンス / 地域経済 / ネットワーク分析 / 協同組織金融機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は国内地域経済が抱える少子高齢化・人口減少といった根本的かつ構造的な課題が深刻化するなかで, 国内地域経済の持続的発展に資する地域金融機関のコーポレート・ガバナンスのあり方を主にミクロ計量分析の手法によって実証的に明らかにすることを目的とする。本研究課題の独自性は, (i) 役員兼任, 多様性および適正規模といった新たな観点から地域金融機関の取締役会・理事会の実効性を評価すること, (ii) 役員兼任を介した地域経済における企業間ネットワークの定量化による外部役員の独立性の判断など, 数理社会学の一分野である「社会ネットワーク論」の知見を援用した学際的な分析手法の採用, (iii) 中小・零細企業金融の主力を担いながら, これまで十分な学術的関心が寄せられてこなかった協同組織形態をとる信金・信組のガバナンス・メカニズムとその実効性の解明を行うことなどにある。 研究計画初年度にあたる 2019 年度は, 主に (i) および (ii) に重点的に取り組んだ。具体的には, 岡山県内に本社を置く約 3,000 社の役員情報をもとに, ローカル企業同士が形成する役員兼任ネットワークの構造を明らかにするとともに, ネットワークにおける中小・地域金融機関の中心性を評価した。当該研究成果については地域・中小企業金融研究の第一線で活躍する研究者が集う「第 13 回地域金融コンファランス」(長野県立大学)において口頭報告を行い, 出席者とのあいだで活発な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 感染拡大にともない, (1) 出席予定であった学会・研究会等の中止, (2) 資料収集のための出張取止め, および (3) 所属研究機関での対応にエフォートを割く必要等があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019 年度の研究成果をもとに, まずは国内地域経済における役員兼任を介した企業間ネットワークの定量化と, そのあり方が地域・中小企業のコーポレート・ガバナンスの実効性に及ぼす影響について実証研究を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 感染拡大にともなう影響等のため。次年度使用額については主に旅費として支出する計画である。
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