2021 Fiscal Year Research-status Report
Optimal exchange rate policy for emerging market economies: immigrant remittance and international credit crunch
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19K01739
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 周史 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (70612571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移民送金 / 国際金融 / 小国開放経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年急激に成長し、新興国経済にとって大きな影響を持つまでになった国外労働者の本国への送金(移民の国際送金)と国際金融市場における 投資資金調達という、異なる性質を持つ二つの大きな国際資金フローが生みだす政策当局にとっての新しいジレンマに焦点を当て、新興国経済の安定化に資する効率的で実行可能な為替政策運営の示唆を得ることを目的としている。 本年度は前年度まで実施していたサーベイに基づき、理論モデルの構築作業とカルマンフィルタを使った推定作業を行っていた。具体的には、標準的な動学の小国開放経済を想定し、そこに家計が自国と外国の労働市場に労働力を提供するモデルを構築した。その際、Igityan (2016)に従って、経済移民にはそれに伴うコストが発生すると仮定している。この比較的シンプルなモデルに小国での景気変動を引き起こすようなショックを与えたところ、産出量と物価の関係を表すフィリップス曲線がフラット化するという変化を確認できた。これは相対的な実質賃金の差に反応して国内労働市場の労働供給量が変化することで生じるものである。フラット化の程度は、移民にかかるコストを通じて変化する経済移民の割合に依存することも確認でき、フラット化した経済では自国内のショックによるマクロ経済の変動が小さく抑えられる結果となった。ただし、国際的なショックが生じた場合の結果についてはまだ検証作業中であり、今後はその作業に移行する予定である。なお、こうした研究の過程で得られた研究成果の一部は、既に海外の査読付き学術誌に投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね当初計画していた段階までは進行しているが、昨年度報告時点までの遅れが影響し、理論モデルの検証作業に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるため、国際間でのショックと経済厚生ベースでのシミュレーションに着手し、これまでの研究結果の総括に向けた作業を実施する。また、その研究成果を論文にまとめ、学術誌への投稿・掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
感染症により、予定していた国内・海外出張が2年間できなかったことに加え、購入予定だった機器が手に入らず次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)