2020 Fiscal Year Research-status Report
近年の金融面の各種施策を受けた金融市場の構造変化:理論・実証・実験アプローチ
Project/Area Number |
19K01743
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
篠 潤之介 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (30822217)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金融・ファイナンス研究 / 固定金利資金供給オペレーション / 海外機関投資家行動 / 日本銀行ETF買入れ / 貸株市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の主な実績は以下の通り。 ・「固定金利資金供給オペレーションにおける投資家行動と安定性に関する実験研究」については、すでに実施した実験結果や、国際会議でのディスカッションをベースに論文を作成し、学術雑誌へ掲載された。 ・「スチュワードシップ・コード(SC)およびコーポレートガバナンス・コード(CGC)策定に伴う本邦株式市場の構造変化」については、これまでの海外機関投資家比率を被説明変数としたパネル推計等の分析を精緻化した。さらに、海外機関投資家比率が企業パフォーマンス(投資行動や財務状況)に与える影響について、内生性を考慮したパネル推計やDID分析を進めた。 ・「日本銀行の資産(ETF)買入れが本邦株式貸借市場に与える影響」については、作成したワーキングペーパーを学術雑誌投稿。さらに、貸株料を含む詳細な市場データを購入し、新たな分析を進めている。 ・その他、金融・ファイナンス分析に活かすことができるより基礎的な研究として、不確実性の存在する企業残余価値分配問題などに適用できる区間ゲームの分析を行った。1件アクセプトされたほか、2本のワーキングペーパーを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固定金利オペについては、実験結果をスムーズにまとめられたことから、当初予定対比早く雑誌掲が完了した。 本邦株式の構造変化については、固定オペ論文のリバイスに集中的に取り組んだことなどから、幾分遅れている。もっとも、当初予定対比以上の多くの興味深い結果が得られている。 日本銀行の資産(ETF)買入れが本邦株式貸借市場に与える影響については、概ね予定通りのペースで進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
「固定金利資金供給オペレーションにおける投資家行動と安定性に関する実験研究」については完了。 今年度は、引き続き「スチュワードシップ・コード(SC)およびコーポレートガバナンス・コード(CGC)策定に伴う本邦株式市場の構造変化」と「日本銀行の資産(ETF)買入れ政策が本邦株式貸借市場に与える影響」に集中的に取り組んでいく。後者については、本年3月に新たな政策変更が行われたため、その影響についても分析する。 また、より基礎的な研究である区間ゲームの分析についても進捗を図る。
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Causes of Carryover |
・コロナの影響で、予定されていた複数の出張およびカンファレンスが取りやめとなった。 ・購入を予定していた一部のデータについて、学内で無償で入手することができた。 ・残額の2021年度における使用計画については、まず、2020年度中に参加・発表することができなかったカンファレンスへの参加およびそのための出張に使用する。次に、貸株市場の構造変化についての追加的な分析を進捗させるため、新規のデータベース(日本取引所ないし民間の情報ベンダー)を購入することも予定している。さらに、追加的な分析を行った際は、英文校閲費用も必要となる。
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Research Products
(6 results)