2019 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the Gains from Wage Rigidity in a Currency Union with Default Risk: Focusing on the Relationship between Terms of Trade and Fiscal Balance
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19K01755
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡野 衛士 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20406713)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 名目賃金硬直性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではGali and Monacelli (2016, AER)が示したことがデフォルトリスクを伴っても適応されることを示すことを目的としている。つまり、デフォルトリスクを伴う共通通貨圏でも名目賃金の硬直性は経済厚生損失削減に寄与すること、つまり、名目賃金の硬直性が高いほど経済厚生損失は削減されることを変動相場制との対比において明らかにすることにしている。本年度はDe Paoli (2006, JIE)のホームバイアスを伴う2国を仮定した動学的確率的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium、DSGE)モデルにUribe (2006, JME)のFiscal Theory of Sovereign Risk (FTSR)モデルおよびBenigno (2009, JMCB)のBond Trading モデル、それぞれのエッセンスを導入しデフォルトが公債発行残高に依存して決定される小国開放経済で構成される共通通貨圏でのDSGE-FTSRモデルを導出した。さらに、このモデルに財政施策ルールとしてのBohn ルールを導入することでモデルを閉じた。次いで2次近似された効用関数に基づく厚生損失関数を求め、Calibrationを行い様々な名目賃金硬直性の下での経済厚生損失を求めた。ここで、2次近似の際に生じる一次項は関係式の2次近似により消去されている。一方でこのモデルを変動為替相場制に変更したモデルも導出し、変動為替相場制の下での経済厚生損失をも求めた。最後に共通通貨圏での経済厚生損失と変動為替相場制での経済厚生損失を比較して、賃金硬直性が高まるにつれ共通通貨圏の経済厚生の利得が上昇することをあるいは同義であるが賃金硬直性が高まるにつれて共通通貨圏は経済厚生損失に削減することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では調書にあるように経済厚生損失が名目賃金の硬直性の変化によりどのような影響を受けるかを明らかにすることが第一の目的であり、Calibratonに依存せずモデルをベイズの手法で推定し、推定された統計量で数値解析することが第二の目的である。初年度において第一の目的はほぼ達成されたたため、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に進展していることから調書にあるように今後は経済厚生損失が名目賃金の硬直性に必ずしも依存しないことをユーロ圏のデータを用いたベイズ推定の結果にしたがって明らかにする。平成33年度は貨幣を導入したモデル、つまり財政収支に通貨発行益が加わったモデルにおいても同様のことがカリブレーションにおいても、ベイズ推定の結果にしたがっても言えることを明らかにする。
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Research Products
(6 results)