2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the Gains from Wage Rigidity in a Currency Union with Default Risk: Focusing on the Relationship between Terms of Trade and Fiscal Balance
Project/Area Number |
19K01755
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡野 衛士 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20406713)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 名目賃金の硬直性 / 厚生損失 / 共通通貨圏 / 金融政策 / 動学的確率的一般均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は貨幣が導入された、言い換えると財政収支に通貨発行益が導入された、つまり中央銀行の国債運用益が追加されたモデルを導出し分析を行った。具体的には以下のような分析を行い結果を得た。これまでと同じくまずGali and Monacelli (2008, JIE)の動学的確率的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium、DSGE)モデルに明示的に政府を導入し、小国開放経済でのDSGモデルを導出した。ここで、統合政府は公債のみならず貨幣を発行することを認めた。分析の対象となる2つのポリシーレジームはインフレターゲティング(変動為替相場制)と共通通貨圏(固定為替相場制)である。インフレターゲティングの下では消費者物価指数インフレ率がゼロとなる一方、共通通貨圏では為替相場は厳密に時間を通じて一定の値に固定される。そして2つのポリシーレジームでのマクロ経済変数の反応を求め、労働費用の削減の雇用を増加させる効果は共通通貨圏ではインフレターゲティングでのそれよりも小さくなることを確認した。次いで2次近似された効用関数に基づく厚生損失関数を求めた。そして、2つのレジムーの下での厚生損失を様々な名目賃金の硬直性の下で計算した。その結果、貨幣を導入したモデルにおいても貨幣を導入しないモデルと同じく、インフレターゲティングでは名目賃金の硬直性が増加すると厚生損失は単調増加する一方、共通通貨圏では必ずしもそうではなく、名目賃金の硬直性の増加は厚生損失を減少させることがあることを示した。
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Research Products
(2 results)