2019 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション・エコシステムにおけるハイブリッド・ファンド政策の機能及び効果
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19K01762
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
樋原 伸彦 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (10434698)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッド・ファンド / イノベーション / エコシステム / 官民ファンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語で言う「官民ファンド」が、特にテクノロジー・スタートアップ企業の設立、成長、その後のパフォーマンス、にどのような影響を与えるのかを国際比較を交え実証的に明らかにしようとする試みである。「官民ファンド」と言うと多義的であるため、本研究では、公的資金と民間資金が意味のある割合で拠出され、テクノロジー・スタートアップのみが資金提供の対象となる、狭義の「ハイブリッド・ファンド」を研究対象とする。 ハイブリッド・ファンドがこれまで最も成功したのはイスラエルであることから、本研究では、まずはイスラエルとの関係構築を進めている。イスラエル政府で科学技術及びイノベーション政策を担当するInnovation Authorityの官僚及びヘブライ大学の研究者と2019年9月にテレコンファレンスを行い、問題意識の共有とイスラエルでの経験が日本に輸出可能なのかの議論を行った。また、2019年12月にはイスラエルを研究訪問し、イスラエルのスタートアップ企業とVCファンドのデータの更なる入手に関して、テルアビブ大学の研究者、企業ミクロデータ及びテクノロジー・シーズ・データを蓄積しているStart-up Nation Centralという機関の担当者と協議を行うことが出来た。その時の助言をもとに、イスラエルのスタートアップ企業関連のデータの整備が現在進んでいる。 また、ハイブリッド・ファンドが置かれているエコシステム(Entrepreneurial Ecosystem)の状況が制約要因となるのか促進要因となるのか、も把握する必要がある。本年度は、特にライフサイエンス・セクターのエコシステムに関する知見が蓄積し、更に、その内容を発信をする場にも恵まれた。エジンバラ大学、政策研究大学院大学(GRIPS)、早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所などで、情報発信を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度として、日本及びイスラエルのスタートアップ企業及びVC のデータ・セットの整備を進めている。研究計画にある通り、イスラエルについてはIVC Research、日本についてはentrepedia(現initail)からのデータ抽出から始めたが、2019年12月のイスラエル訪問によって関係が出来たStart-up Nation Centralが運営するStart-up Nation Finderに蓄積されているデータへのアクセスを現在協議中である。また、日本の企業データについても、initail以外のデータ・ソースについても探索している。 まだ数量的な分析結果は出ていないため、論文等の形での成果発信には至っていないが、コンファレンス等での発信は初年度ながらいくつか行うことが出来た。 エジンバラ大学では、日本の製薬セクターのエコシステムについて発表。またエジンバラ大学と政策研究大学院大学(GRIPS)共催の国際ワークショップに招聘され、”Emerging Life Science Ecosystem in Tokyo”と題して研究発表、及びパネル討議に参加した。イスラエルのヘブライ大学及びInnovation Authorityとは”Israel-Japan Biomedical R&D Policy and Program”と題したテレコンファレンスを実施。2019年12月にはテルアビブ大学及びヘブライ大学の研究者と共同研究及びデータ収集の議論を行った他、現地のVC、Start-up Nation Central、KPMG等々からも情報収集を行った。この訪問の成果を中心に、早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所で「イスラエル・エコシステム~Start-up Nationの最前線」というタイトルのコンファレンスで講演した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ整備に注力し、できれば今年度中にPreliminaryであっても数量的分析結果を得たいと考えている。データ整備については、イスラエル及び日本双方の企業データのソースを少し拡充することを計画している。 コロナ渦の影響で、現在(2020年6月)時点では海外出張はままならない状況ではある。コロナ渦以前はイスラエルでの学会発表及び研究滞在を本年度は計画していたが、少しずれ込みそうである。もちろんコロナ渦の今後の状況によるが、2021年1月ぐらいからはイスラエルに研究滞在できればと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張旅費については他の予算で計上できたたためである。
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Remarks |
上記は当初2020年2月26日に2019年度研究内容の発表として予定されていたものが、コロナ渦で4月に延期して行われた。
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Research Products
(7 results)