2019 Fiscal Year Research-status Report
A theoretical and empirical challenge to unsolved problems in the analysis of the leading indicator property of the term spread
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19K01767
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
中尾田 宏 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50454989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 貴之 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (40434782)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金利期間構造 / 資産価格 / 先行指標 / 景気変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、リーマンショック前までの米国のデータを使い、「国債の長短金利差が将来の経済状態の先行指標となる性質を持っていること」を再確認した。そのうえで長短金利差が非耐久消費財よりも耐久消費財の成長率に対して高い予測力を持つことを確認した。そして、Rendu de Lint and Stolin (2003)の資本蓄積とNakaota and Ogawa (2008)の消費耐久性を統合したモデルを作成し、ソフトウェアdynareを用いてシミュレーションを行った。先行研究では、国債の長短金利差が非耐久消費財よりも耐久消費財の成長率に対して高い予測力を持つことを説明できなかったが、我々の統合モデルではこの特徴を再現することができた。加えて、金融政策当局の貨幣供給の増加量と国債の長短金利差の将来の経済状態の先行指標性の関係についても分析した。負の生産性ショック後にショックがない場合に比べ、金融政策当局が貨幣供給の増加量を減少させる場合、名目長短金利差が先行指標性を強め、貨幣供給の増加量を増やす場合には、先行指標性を弱めることを発見した。米国のデータをもとに金融政策当局の貨幣供給量のショックに対する反応パラメータを推定を行ったところ、70年代後半まではショック後に貨幣供給の増加量を減少させ、80年代以降は貨幣供給の増加量を増加させていることが分かった。これらの結果はSmets and Tsatsaronis (1997)やDotsey (1998)などで指摘されている、「長短金利の先行指標性の強さが時代と共に変化し、近年では予測力が低下していること」を説明できる可能性がある。現在これらの分析結果をもとに論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において1年目で行う予定であった分析を、2019年度に行うことができた。分析結果を元に論文を執筆中である。今後は論文を研究会・学会等で発表し、学術誌に投稿していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、まず、2019年度の研究成果をもとに論文の執筆を進め、学術誌への投稿を目指す。次に1年目に作成したモデルの現実的な妥当性を検証するために、米国以外の国でも長短金利差は非耐久消費財に比べて耐久消費財の成長率をより予測するかどうかについて実証分析を行う。加えて、モデルから含意される金利期間構造の特性が実際のデータ上でも成立するかを実証的に検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス (COVID-19)の世界的な流行のため、参加予定していた国際学会に参加することができなかったこと及び、共同研究についての打ち合わせも行うことが出来なかった。このことより、予定されていた旅費を使用できなかった。コロナの流行が収束次第、積極的に学会発表などを行うことにより、翌年度分として請求した助成金を活用していく。
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