2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01779
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済史 / 企業史 / 商社 / 学歴 / 不祥事 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍を経て、本年度は従来の8割程度まで史料調査を再開できた。ただし都立中央図書館などは利用人数や時間に制限が設けられ(現在は解除)、従前のように完全に旧に復したとは言えない状況にあった。そのため本年度は引き続き、三井物産の史料を所蔵する三井文庫の調査及びその史料の分析に傾注した。 三井物産の『職員録』や『社報』(処罰に関する辞令を掲載する)は、すでに全点を採集済みであったものの、『社報』は明治後期から作成されたので明治前中期の内部不祥事は不明であり、また『社報』は処罰の辞令を数行で掲載するだけで実際に何があったのかという内実が曖昧な事例は少なくない。しかし明治前期から後期まで残る重役会議録では、処罰の全点であるか否かは確認できないという欠点はあるものの、社則の違反行為や不祥事(解雇事案)に関する詳細な報告書を掲載しており、実態が詳しく判明するという利点を持っている。史料の名称は年によって『元方評議』『重役会議録』『重役会議往復状』『理事会議按』『管理部会議案』と異なるものの、明治10年代から同40年頃まで連続的に約40点が残り(以後の同種の文書は性格が変化している)、それらを全点通読して関連記事をすべて採集し、併せて明治~大正期の社則集を渉猟した。 こうした史料調査を踏まえて、本年度は「戦前期の三井物産における横領事案とその対応」(『国民経済雑誌』第228巻2号)と題した論文を作成し、考察の成果をまとめた。本論文は不祥事の代表的事例というべき従業員による横領行為に対象を絞り、その時期的な変化を明らかにしている。たとえば明治前期には横領の処罰は月給の没収で済まされて解雇に直結するようになったのは中期以降であったほか、内部監査の部署の変遷や、横領の予防的措置であった「身元保証金」の実効性は乏しかったことなどが判明した。
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Research Products
(1 results)