2020 Fiscal Year Research-status Report
「学歴身分制度」の変容・廃止と「日本的雇用制度」の運用実態の関係の歴史実証的研究
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19K01784
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| Research Institution | Dokkyo University |
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Principal Investigator |
市原 博 獨協大学, 経済学部, 教授 (30168322)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 学歴身分制度 / 教育資格 / 企業内教育 / 企業内学校 / 身分制度 / 能力開発 / 日立製作所 / 東京電力 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
論文Japanese Companies’ In-house Education in the Post-War Period: Educational Qualification and Personnel Managementを 経営史学会が編集・発行した英文年報”Japanese Research in Business History”vol30に執筆した。本論文は、戦後に日本企業が展開した企業内教育の取り組みの中で、これまであまり研究されてこなかった高卒者を対象とする企業内学校に焦点を当て、主に東京電力の東電学園専門部・大学部と日立製作所の日立工業専門学院の事例分析を行った。高卒者を対象とした企業内学校には、経済的環境のために高等教育を受けられなかった優秀な高卒者の能力向上を図ると同時に、彼らに高等教育卒業者に準ずる昇進機会を与えることにより、彼らのモチベーションを向上させてその能力の活用を図り、同時に、彼らの不満の緩和を通じて、職場内での摩擦を回避しようとする狙いが込められていたことが本論文の結論である。
また、前年度より主に労働組合資料を中心に資料取集を行って来た三菱造船・三菱重工長崎造船所の人事制度改革・人事制度運用と教育資格との関係に関する研究は、原稿執筆段階に到達し、その主要部分を執筆し終えた。
また、前年度より主に労働組合資料を中心に資料取集を行って来た三菱造船・三菱重工長崎造船所の人事制度改革・人事制度運用と教育資格との関係に関する研究は、原稿執筆段階に到達し、その主要部分を執筆し終えた。
明治期の日本の鉄道業の人事管理を教育資格と「身分制度」の関係に焦点を当てて分析する原稿も執筆を進め、草稿が出来上がった段階である。いくつかの鉄道会社の人事関係資料を入手し、データベースを作成し、分析を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に沿って資料収集・データベース作成を進め、原稿の執筆を進めることができた。その点では計画通りと言えるが、一部の資料の閲覧が、新型コロナ感染対策による図書館・資料館の閲覧制限により中断せざるを得ない状況になったため、執筆を中断せざるを得ない原稿が生まれている。コロナ禍が収束したらすぐに資料閲覧・収集を再開する積りである。
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| Strategy for Future Research Activity |
現在までに、電機・電力業、造船業、鉄道業に関する研究がまとまるか、まとまりつつある。引続きこの作業を進めるとともに、本年度は鉱山業と繊維工業の資料分析に取り組む。繊維工業は職員の人事資料の収集・データ処理が進んでいるので、本社・工場での各職種の職務内容の実態とその変容をインタビュー調査も行って確定し、その知見と人事資料から得られる教育資格別の人事運用の実態に関する情報を組み合わせて、教育資格と人事管理との関係性を解明し、女性従業員も少なからず存在した繊維工業が、男子従業員が圧倒的に多かった重工業と比較してどのような特徴を持ったかを考察する。
鉱山業では、戦前期から戦後1950年代頃までの資料が利用可能なので、いくつかの炭鉱を対象に、人事資料の収集を急ぎ、そのデータの解析を進める。高等教育卒業者が上級職員に多く採用される一方で、作業現場を管理・監督する職員には教育水準の低い鉱員から登用された者が多いという特徴を持った鉱山業の人事管理と教育資格の関係が、戦後の労使関係の大きな変革を通していかに変化したのかを人事データを通して啓明する予定である。
以上の実証分析により、日本企業に特殊だと認識されてきた人事管理と教育資格との関係性の実態を正確に明らかにする。その上で、外国のエンジニア育成の経験と特徴を論じた研究をサーベイし、そこから得られた知見と比較することにより、実証分出来で得られた知識を相対化し、日本的特殊性と普遍的性格を腑分けする。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた資料収集のための出張が出来なくなったため。
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