2021 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation of "light" machine industries of postwar Japan
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19K01795
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
澤井 実 南山大学, 経営学部, 研究員 (90162536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軽機械 / カメラ / 双眼鏡 / 家庭用ミシン / アメリカ市場 / 四畳半メーカー / ディストリビューター / 海外販売会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の今年度にはとくに1950・60年代における大手ミシン企業の輸出戦略について検討した。ミシン企業のなかでは例外的にブラザー工業のみがブラザー・インターナショナル・コーポレーション(BIC)という自らの手足となって海外市場開拓を担ってくれる販売会社を有しており、そのことが同社の高い輸出比率を支えていた。しかし1960年代半ばに至ってもアメリカ市場において販売されるブラザー工業製ミシンのすべてがブランド売りされていた訳ではなく、大阪のアセンブルメーカーと同様に他社ブランドを付して販売されるものもあった。 蛇の目ミシンは1960年5月にニューホームミシンを買収し、蛇の目ミシンの海外販売拠点として再出発したニューホームミシンは蛇の目製品に「ニューホーム」ブランドを冠して全米の代理店に向けた販売を開始した。しかしこうした努力にもかかわらず蛇の目ミシンの輸出比率はブラザー工業と比較して大きく見劣りした。リッカーはシアーズ・ローバック社やシンガー社からのOEMの申し入れを拒否して自社ブランドでの輸出拡大をはかるものの、大きな成果を上げることはできなかった。ブランド売りは大阪の家庭用ミシンアセンブルメーカーと家庭用ミシン大手3社を分かつものであったが、高度成長期の大手3社にとって海外市場でのブランド売りの拡大は容易なことではなかったのである。 こうしたミシン業界の動きに対して、カメラの場合は当初のディストリビューター依存を脱却してオウン・ディストリビューション体制を構築していくことになった。ミシンとカメラを分けた要因の1つがミシンにおけるシンガー社の存在であり、もう一つの要因はカメラの場合の継起的な技術革新であった。さらに両者の間では製品多角化においても違いが見られ、ミシンの場合は一部でメーカーの商社化といった事態も見られたのに対し、カメラでは慎重な多角化が進められた。
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Research Products
(1 results)