2019 Fiscal Year Research-status Report
Regional policy and region-making under the post-Fordist capitalism
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19K01799
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山井 敏章 立命館大学, 経済学部, 教授 (10230301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドイツ / バーデン・ヴュルテンベルク / 自治体合併 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
1970年代はしばしば、フォーディズム(大量生産・大量消費によって特徴づけられる資本蓄積の体制)からポスト・フォーディズムへの転換期と位置づけられている。本研究は、1970年代における資本主義のこの転換の意味と実態を、とくにドイツの地域政策に焦点をあてて検討することを目的としている。1970年代前半に、ドイツ各州で大規模な自治体合併が進められた。ドイツでは基礎自治体(Gemeinde)に強い権限が与えられており、それがドイツの民主主義の重要な基盤をなすが、その自治体の再編統合がドイツの民主主義にどのような意味をもったのか。この点の検討が本研究の焦点を成す。 2019年度は、当初の予定通り5月から9月までドイツ(マンハイム大学)で研究活動に従事することができた。この期間中に、シュトゥットガルト市およびフライブルク市にあるバーデン・ヴュルテンベルク州の州立文書館で自治体合併に関する史料を収集した。また、同州基礎自治体の連合体が機関誌 "Die Gemeinde"を発行しており、その大半の巻が滞在先のマンハイム大学に所蔵されていた。上に述べた1970年代前後だけでなく、第二次大戦直後から2000年までの巻を閲覧し、戦後の同州ならびにドイツ全体における自治体をめぐる諸問題について多くの情報を得ることができた。 自治外合併に際しては多くの自治体による反対運動があったが、1990年代半ばにそれがまた再燃した。ドイツ滞在中にバーデン・ヴュルテンベルク州における反対運動の先頭に立った方をお訪ねし、種々情報を得ることができた。 研究成果としては、戦後ドイツの地域政策に関する英文論文を、日独の研究者による共同研究の成果をまとめた書物に発表した。また、第二次大戦後のドイツの民主主義に関する論文を執筆、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように、1970年代前半のドイツの自治体合併に関する史料を収集することができた。また、バーデン・ヴュルテンベルク州自治体連合体の機関誌 "Die Gemeinde" の閲覧を通じて、第二次大戦後のドイツの自治体をめぐる動きを長期的な視点から検討する可能性が生まれた。 当初の研究計画では、バーデン・ヴュルテンベルク州と並んで北西ドイツのニーダー・ザクセン州を検討対象に加える予定だったが、文書館史料の状態が当初考えていたほど整っておらず、また、比較的新しい研究がすでに存在することが分かったため、ドイツ全体の状況を視野に入れつつ、バーデン・ヴュルテンベルク州に焦点をしぼって研究を進めることとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に収集した諸史料を読み込み、学術論文にまとめていくことが本年度の課題である。 コロナウイルスの感染状況を見ながら、夏期休暇ないし春期休暇中にドイツに行き、さらに史料・情報の収集を行いたい。
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Causes of Carryover |
(理由)研究対象をバーデン・ヴュルテンベルク州にしぼったため、他州の文書館への出張旅費が予定より少なくなった。また、ドイツでの滞在先のマンハイム大学で想定以上に多くの文献・史料が得られたことも、出張費・書籍購入費が当初の予定より少なくなった理由である。 (使用計画)2020年度は11月に韓国・釜山で開催される国際カンファレンスへの参加を予定している。また、夏期ないし春期休暇中にドイツに出張して史料・文献の収集にあたりたい。
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