2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on How 'Design-in'' was Generated in Japanese Die & Mould Industry of 1960s
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19K01800
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 幹大 立命館大学, 経営学部, 教授 (00435992)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金型 / プラスチック射出成形 / デザイン・イン / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、金型メーカーが発注側企業の新商品開発・設計に参加するというデザイン・イン関係がなぜ高度成長期に発生したのかを、プラスチック射出成形用金型を対象に明らかにすることである。そのために①高度成長期にプラスチック射出成形業者がどのようにして発生したのか、②成形業者に射出成形機がどのようにして普及したのか、③プラスチック射出成形用金型メーカーはどのようにして出現したのか、④1960年代における家電メーカー、射出成形メーカー、金型メーカーの3者におけるデザイン・イン関係の具体的な内容と、なぜデザイン・インをするようになったのか、を分析課題として設定した。2019年度は①と②については大阪産業技術研究所、国立公文書館、大学図書館等で収集していたプラスチック射出成形業者の社史、業界雑誌、関係資料の分析を行った。その結果、プラスチック射出成形業者は圧縮成形業者やセルロイド加工業者などの関連業者の進出によって形成されたこと、またそれらは射出成形機械を普及させる産業政策に支えられていたことがわかった。③については日本金型工業会の会員企業資料のデータ入力を行った。入力作業が終了していないために全体的な分析は今後になるが、プラスチック射出成形用金型メーカーのルーツにはいくつかのパターンがあることが判明しつつある。④については高度成長期創業の金型業者、高度成長期に大企業の金型部門に所属していた技術者へのインタビュー調査の記録のまとめ、関係金型資料の分析を行った。その結果、デザイン・イン関係の発生には、金型の技術的特質から大企業では獲得しにくく、中小の金型企業であるからこそ獲得できる技術があること、新商品開発が連続し金型の不良による量産開始遅延が許されない高度成長期にあってその技術を大企業側が必要としたことなどが関係していたと明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記、分析課題の①から④のうち、①②④については順調に進展したと言える。しかし、③については予定よりわずかに遅れている状況にある。③については、数百の金型企業の資料があり、その分析のために必要部分のデータ入力をデータ入力会社に依頼する予定であった。その前提として自身で一定程度データ入力とチェックを行い、必要情報の取捨選択を行うこととしたが、その作業に思いのほか時間がかかり、作業が終了したのが年度末であった。2019年度内にデータ入力業者へ作業を発注する予定であったので進捗状況としては若干遅れている状況にある。ただし、自身でデータ入力したことによって、金型企業の経歴にいくつかのパターンがあることを発見できたので、入力作業終了後の分析に活かすことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、作業が若干遅れている金型企業資料のデータ入力を進めていく。ただし、このデータにはプラスチック射出成形用金型だけではなく、プレス用、鋳造用、ゴム用、ガラス用も含まれている。まずはプラスチック射出成形用金型業者のデータを入力、分析し、ついでそれ以外の型企業データを入力し、比較分析を行う。金型企業資料のデータ入力作業・分析終了後、これまでの研究成果をまとめて学会での報告し、論文にまとめていく。
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Causes of Carryover |
2019年度は研究費支出を必要としない金型関連資料の分析、調査記録の作成、金型企業データ入力などについて研究を進めたが、研究費支出が必要な金型企業データ入力の外部発注については行わなかった。次年度では金型企業データ入力の発注に研究費を支出していくと同時に、2019年度中の研究で明らかになった不足資料の収集作業費などにも支出してく予定である。
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