2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Social Context of Information System Design Methodologies based on Narrative Research
Project/Area Number |
19K01803
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内木 哲也 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70223550)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | システムデザイン / メディアコミュニケーション / 情報メディア / メディア文化 / ナラティブ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報システムは人々の組織的活動と共に立ち現れ、組織や社会の成立に不可欠なコミュニケーションの基盤として人々に認識される。その原動力は、一般的に考えられている情報技術の側ではなく、人々のメディアコミュニケーション行動にこそあり、その中において一定期間に形成される形式的な情報刺激の因果律に対する認識が情報システムの姿といえる。そのため、人々の意識や社会的情報システムデザインにおいても、構築しようとする情報処理システムが人々のメディアコミュニケーションの中に息づき、そのシステムをメディアとして組み入れたコミュニケーションを誘発できるか否かが、システム構築の成否にかかわる要因として挙げられる。 本年度は、このような情報システム現象を捉え議論の俎上に載せるための社会学的観点に立脚した分析枠組みの措定を目指し、デジタル情報処理技術が社会的に認知され始めるまでの情報メディアの発展経緯をその独立性の確立にという点に着目して文献調査を行った。その成果として、情報メディアの発展段階はその受発信や扱いに関わる人々の身体性や組織属性からの分離独立として捉えるべきことと共に、その段階に応じて機能性が向上し、文明もそれについて進展しているとの確証を得ることができた。この研究成果については、昨年度までに得られた知見と共に、論文および出版物にまとめて公表する予定である。 また、これまでの調査研究の成果として得てきた情報システムのメディア文化的特性を理解する礎となる事例として、現代社会におけるメディアコミュニケーション現象に関する調査研究に着目し、情報システムの観点から研究成果を事例として分析することを通して、メディアコミュニケーションに内包された情報システムの捉え方を例示すると共に、メディアとしての情報システムの認識と評価について整理分析し、紀要論文としてまとめて公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響で当初予定していたシニア実務者への聞き取り実施が困難を極めたことから、聞き取りが可能な研究協力者との共同研究の中で重要な文献を探り出せただけでなく、デジタルネイティブ世代の若者のメディアコミュニケーション行為から重要な示唆が得られることに気づかされ、彼らの着眼点や調査研究に対する語りを調査対象とすることで研究を進捗させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの調査によって裏付けられたメディアコミュニケーション行為の一形態としての情報システム現象に関する成果として得られた、人々の身体性や組織属性からの分離独立過程としての情報メディアの発展段階とその段階に応じた機能性変遷について、文明発展の視点から整理しまとめると共に、現代のメディアコミュニケーション環境における情報システム形成を担う若者のメディア文化的視点や実践的行為についての聞き取り調査をさらに進め、設計の要としての暗黙知を認知し峻別するためのシステム現象の捉え方と具体的方策を整理し、まとめて公表する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で本年度に予定されていたシニア実務者に対する面談による聞き取り調査の実施だけでなく、海外研究者との研究打ち合わせ、国際会議への参加が困難であったことから、そのための経費が繰り越しとなったため。
|