2020 Fiscal Year Research-status Report
大学発ベンチャーの創出を促進するエコシステムに関する研究
Project/Area Number |
19K01804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 克也 東京大学, 産学協創推進本部, 特任教授 (20409759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 岳人 東京大学, 産学協創推進本部, 特任研究員 (20573728)
馬田 隆明 東京大学, 産学協創推進本部, 特任研究員 (20836267)
松井 克文 東京大学, 産学協創推進本部, 特任研究員 (00855942)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大学発ベンチャー / スタートアップ / アントレプレナーシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済発展の源泉となるイノベーションを起こす主体が、大企業における社内組織から、ベンチャー企業や大学を中心として構成されるイノベーション・エコシステムに大きくシフトしているとの前提に立ち、イノベーション・エコシステムの中で重要な位置を占める大学発ベンチャー、特に今まで十分な学術的分析の対象となっていなかった学生ベンチャーに焦点を当て、学生ベンチャーとそれを取り巻く様々なプレイヤーの分析、および大学発ベンチャーにおけるアントレプレナーシップ教育の効果検証を通してイノベーション促進のメカニズムを解析しようとするものである。 本年度は、アントレプレナーシップ教育受講生に対して実施したアンケート調査に基づき、同一環境にある非受講のコントロールグループを設定した準実験を実施し、差分の差分法を用いてアントレプレナーシップ教育の効果を検証した。 検証の具体的対象としてゲスト講義を取り上げた分析では、ゲスト講義中心の教育プログラムの受講生において、受講の効果による起業意思と起業における自己効力感の向上は確認されず、ゲスト講義中心の教育プログラムは期待した効果が得られていないことがわかった。この内容は日本ベンチャー学会誌に論文として掲載された。 大規模教室におけるアントレプレナーシップ教育の効果についての分析では、コーゼーションやエフェクチュエーションに大きな教育効果があることが確認され、適切な教育内容を組み合わせれば、大教室における大人数講義でも効果的なアントレプレナーシップ教育を行うことができることを明らかにした。この内容は Academy of Management 年次大会の論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学生ベンチャーの属性分析や成長軌跡に関する分析は当初計画より遅れているが、アントレプレナーシップ教育の効果検証に関して、データの収集や分析が当初計画以上に進展し、国際学会や学会誌での発表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続いてアントレプレナーシップ教育の効果検証を進めるとともに、学生ベンチャーの属性分析成長軌跡に関する分析も、各種データベースの活用などを通して推進する。
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Causes of Carryover |
論文採択され、口頭発表する予定だった国際学会(Academy of Management 年次大会)がコロナ禍のためオンライン開催となり、海外出張費用の執行ができなかった。次年度も海外出張は困難であることが予想されるが、アンケート調査によるデータ収集が着実に成果をあげているので、データ収集を充実させて研究計画の加速を図る予定である。
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