2019 Fiscal Year Research-status Report
感情労働の両価的特性とそれを促進する人事施策に関する体系的研究
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19K01808
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高階 利徳 兵庫県立大学, 国際商経学部, 教授 (30351836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開本 浩矢 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (90275298)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情労働 / 心理的資本 / 組織定着 / 離職 / 介護 / 医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題の初年度となる。当該研究課題は、介護施設や医療施設におけるヒューマン・サービス施設人員の離職ないしは組織定着を研究の主題としている。従来この問題に関わらせて論じられることが少なかった「感情労働」と「心理的資本」という2つの概念を導入することに、本課題の独自性がある。そこで初年度は、当初の研究計画の通り、(1)「感情労働」と「心理的資本」に関する研究蓄積の収集とその整理、(2)心理的資本の主要文献の翻訳を実施した。 (1)「感情労働(Emotion Labor)」については、医療施設や介護施設の人員のマネジメントおよび医療・介護労働の市場分析に関する図書・学術論文を広範に収集し、その批判的検討を実施した。ただしその際、経済学や経営学以外の、例えば社会学・社会福祉学などの近接関連領域の学術論文についても幅広く収集し、分析対象とした。特に社会福祉学は、介護業界とその人員を本来的に取り扱う学問領域であるので、そこから豊かな成果を収集することが出来た。 また医療・介護施設人員の定着に影響しうる新しい心理概念としての「心理的資本(Psychological Capital)」についても同様に資料を収集し、その批判的検討を実施した。邦文文献がほぼ存在しない概念であるので、英語論文を中心に収集し、その研究動向を把握することが出来た。 (2)については、本申請課題の分担研究者を含む五人の共訳者とともに作業を進め、大方、公表の目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、文献渉猟が順調に進んだ。現時点での成果を公表すべく、所属学会での報告を申し込み、その準備を完了させることができた。 また本申請課題における新奇性の中心となる「心理的資本」の主要文献の翻訳は、既に大半の作業が終了し、公表されるのを待っている状況である。翻訳作業に目処が立ったことは、本申請課題を大きく進捗させることに強く寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究一年目の進捗はおおむね順調であったため、研究計画の変更はとくに必要がないと考える。 ただし、周知の通り、新型コロナウィルスによる行動の制約が社会的に要請されているので、現場での聞き取り、質問票の配布・回収が、今年以降、予定通りに進まない可能性を危惧している。
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Causes of Carryover |
初年度は幅広く文献収集する予定であったが、新型コロナウィルス等の影響で、国立国会図書館、学術情報センター社会科学系指定図書館等の機関に出張することができなかった。このような事情で、執行額に変動が生じた。
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