2019 Fiscal Year Research-status Report
組織における女性リーダーシップの阻害要因の解明:ジェンダー・ギャップからの検討
Project/Area Number |
19K01811
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
松崎 友世 大東文化大学, 経営学部, 教授 (80398883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盧 回男 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (10724560)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 女性リーダーシップ / ジェンダー・ギャップ / 女性管理職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女性が組織の中で管理職の地位に就くことが困難であること、すなわち組織における女性のリーダーシップ能力の促進を阻害する要因について、ジェンダー・ギャップという概念を用いて心理学的視点から解明することである。 2019年度は、就労している女性における仕事に対する認識や組織に対する認識を検討するため、男女正規社員を対象とした調査データの分析を行った。管理職と一般従業員で「仕事のやりがい」と「組織の両立支援や女性活躍推進の取り組み」についての認識の検討を行った。その結果、「仕事のやりがい」について管理職と一般従業員の間で大きな差がみられ、管理職のほうが「仕事のやりがい」を高く感じていた。管理職では性差はほとんど認められなかったが、一般従業員では女性のほうが男性よりも低くなっていた。つまり女性において管理職と一般従業員の差は男性よりも顕著になっていた。ついで「組織の両立支援や女性活躍推進の取り組み」に関しても、管理職と一般従業員での認識に大きな差があり、管理職は一般従業員よりも所属組織において両立支援や女性活躍推進の取り組みが積極的に行われていると認識していた。 さらに、一般従業員を対象に「仕事のやりがい」に影響を与える要因についての検討を行った。その結果、女性の「仕事のやりがい」に影響を与える大きな要因として、直接の上司との関係の中で、とくに「上司の積極的育成態度」が重要な要因であった。つまり、女性の「仕事のやりがい」を高めるには、上司による将来を見据えた積極的な育成態度が重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織における管理職と一般従業員の仕事のやりがい、および組織の両立支援や女性活躍推進の取り組みについての認識の検討を行った。管理職は一般従業員と比較し、仕事のやりがいを高く、また組織の両立支援や女性活躍推進の取り組みが積極的に行われていると認識していた。特に女性においては役職の影響が大きく、管理職と一般従業員の差は顕著であることが明らかとなった。これらの結果から、すでに管理職に就いている女性と一般従業員の女性の仕事に対する認識や組織に対する認識の違い、また関連する要因について新たな知見が得られ、今後の検討課題も得られた。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した
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Strategy for Future Research Activity |
1)ジェンダー・ギャップに関する要因(組織要因・社会要因・個人内要因)を検討するため、リーダーシップ能力に関連する学校や企業組織の教育、制度、家庭状況などの性差について検討を行う。 2)組織における女性リーダーシップに関連する要因(教育、制度、社風、役割など)に対する認識について、就労女性の管理職と非管理職間での比較を行う。 現在までに得られた結果および1)と2)の結果を用いて、女性のリーダーシップ能力の促進に関する阻害要因の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行により、対面での面接調査が難しくなったことから、年度末(2020年2月~3月)に予定していた女性管理職を対象とした面接調査をやむを得ず中止とし、残金を翌年度にまわした。物品の購入、オンライン調査の追加費用および論文執筆にかかる費用などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)