2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on self-regulated management and discretionary work sysytem
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19K01825
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森田 雅也 関西大学, 社会学部, 教授 (40247896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 裁量労働制 / 自己規制した管理 / 自律性 / 境界決定の自律性 / やろうと思えばできる安心感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、調査会社に委託して、裁量労働制適用者を対象に質問票調査とインタビュー調査を行った。質問票調査は562人(専門業務型適用者366人、企画業務型適用者196人)を対象に、インタビュー調査は質問票調査対象者の中から10人(専門業務型6人、企画業務型4人)を対象に行った。その結果、①安全配慮義務履行の徹底、②「やろうと思えばできる安心感」の付与、③管理職への管理強化、④対象者選定の妥当性、が自己規制した管理を行い、裁量労働制を有効に機能させるために必要であると考えられた。 まず、安全配慮義務履行を徹底するために、労働時間の上限の設定とそれを超えた場合の対応(制度対象者から外す)の確実な実施の必要性が確認された。これは健康被害を防ぐとともに、安全配慮の意思の表れとして労使の信頼形成にも役立っている。 次に、「やろうと思えばできる安心感」である。裁量労働制適用者の多くは、定時勤務者と同じ時間帯に働いているが、何かあった時に柔軟な時間の使い方ができるという安心感が彼(女)らの精神状態に良い影響を与えていることが確認された。境界決定の自律性と柔軟な時間の使い方を保障して、この安心感を維持していくことが重要である。 ①や②の保障にも必要なのが、管理職に①、②を確実に履行させることである。自律的な働き方を支える制度は、組織が意図する通りに運用されなければならない。管理職への管理強化として、管理職の評価項目に制度の正しい運用を加えるなどが求められる。 最後に、対象者選定の妥当性が疑われた。「所定労働時間を知らない」人が99人(17.6%)存在していた。自分の労働条件を知らない人が裁量労働制の対象者となることにまず疑念が呈された。また、この人たちの制度や仕事に対する意識や満足感は「所定時間を知っている」人たちよりも低く、裁量労働制の下で働くことの効果が上がっていないことが示された。
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Research Products
(1 results)