2022 Fiscal Year Annual Research Report
職場のウェルビーイング度の向上に個人特性が与える影響
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19K01831
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 美香子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (60456308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 大 東京工業大学, 工学院, 教授 (90303346)
平野 雅章 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 名誉教授 (00165193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 主観的ウェルビーイング / Subjective well-being / 食品安全文化 / Food Safety Culture / HACCPの制度化 / 中小食品製造業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ下で遅延した当初の研究実施計画に対し、2022年度は、食品事業者を対象に、職場のウェルビーイング(WB)と食品安全文化(FSC)に関する企業調査を実施した。交付申請書に記載した研究目的では、個人特性が職場のWB度に与える影響を明らかにする予定であった。しかし、当初職場として想定していたオフィス環境がコロナ下で大きく変化し調査は困難と判断し、2021年度に研究計画を変更し職場を食品製造の現場とした。 食品事業者には、科学的な安全管理システムの運用に加え、食品安全を優先する組織文化を確立・維持する取り組みが求められている。コーデックス委員会で2020年にFSCを含む文書が採択され、食品安全規格の国際協調を担う世界食品安全イニシアティブでもFSCが新たな要求事項とされるという国際動向を踏まえ、この分野での学術研究が求められていた。 そこで我々は、FSCという新たな概念と、WBとの関係を明らかにすることを目的に据え、最終年度の研究を遂行した。企業調査では中小食品製造業者5社を対象に、事前アンケート、製造従事者を対象にした従業者アンケート、4社にトップインタビューを実施した。分析の結果、「コミュニケーション」と「周囲のサポート」が連関し、「施設設備」にする評価が低いと「リスクの軽視」が高まる傾向がみられた。FSC構築に有効な要素は、従事者の安全行動に影響する「施設設備」と生産管理であり、安全を優先できる施設設備環境の整備、FSC構築の阻害要因の排除が重要である。また、FSCが良好な組織は、従業員のWBも高い。職場でのコミュニケーションが良好な状態であることがFSCの確立・維持、個人のWBに有効と考えられた。 本研究は、中小食品製造業者のFSCおよびWBの状態と関係を明らかにした研究として学術的意義があり、現場の食品安全マネジメントに関する実務的な示唆を与えた研究であるといえる。
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Research Products
(6 results)