2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代自動車技術をめぐる産業構造の変動:ネットワーク分析による実証研究
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19K01832
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
岡本 哲弥 滋賀大学, 経済学系, 教授 (10411042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自動車産業 / サプライヤー / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車産業は100年に一度の大変革期にあり、サプライチェーンにおける部品サプライヤーにとってもその影響は大きく、取引品目や取引先のあり方を検討することが喫緊の課題となっている。 2022年度は、自動車部品サプライヤーを基点にエゴセントリック・ネットワークとして捉えて、企業規模のデータに、「取引品目数」と「取引メーカー数」の変数を加味して分析した結果、次の3点について明らかにした。まず、企業規模に関して、売上高(対数値)を指標したときに、部品サプライヤーの取引品目数が多いほど、また取引メーカー数が多いほど、売上高が高いという基本的な関係が確認できた。また、売上高そのものを指標としたときには、「取引品目数」だけが売上に関連するという結果であった。第2に、取引品目数および取引メーカー数別の売上高の箱ひげ図から、その売上高の上方の外れ値は、一部の例外(ダイハツ工業)を除けば、いずれも自動車メーカーだけが主要顧客ではない大手企業である。第3に、箱ひげ図の下側の外れ値には、外資サプライヤーを存在しており、国内の部品市場にも外資サプライヤーの参入が確認できる。現時点では、売上規模は小さいものの、外れ値以外にもZF(ドイツ)や現代モービス(韓国)なども参入している。 また、サプライチェーンにおける川下の中古車市場を対象にベンツおよびBMWと比較をし、高級ブランドとしてのレクサスの位置づけを明らかにした結果を論文として取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、主に自動車産業における1次サプライヤーに焦点を当てながら、CASEの観点を意識しつつ、サプライヤーの規模が取引品目数や取引メーカー数とどのように関係しているのかについて研究を進めてきた。研究成果の一部は、オンラインでの学会報告などを通じて公表を行った。コロナウイルスによって当初計画の修正が余儀なくされたなかで、当初予定した計画に徐々にキャッチアップしつつあるものの、現時点ではやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度も利用した調査レポート「2021年版 主要自動車部品255品目の国内における納入マトリックスの現状分析」からデータセットを再構成し、1次サプライヤーが取り扱っている部品ポートフォリオに着目し、アソシエーション分析や共起ネットワークによる視覚化を通じて、電気自動車をはじめとする次世代車に必要な部品の特徴について探っていきたい。その際、CASEの観点を取り込むことができるものと考えている。 また、「主要自動車部品255品目の国内における納入マトリックスの現状分析」の最新版(2023年版)の入手も検討したい。
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Causes of Carryover |
2022年度以前はコロナウイルス感染症の影響により、学会がオンライン開催なることで出張費の支出が少なかったことや高額資料集などの未購入が、次年度に予算を延期することになった主な要因である。 次年度の計画においては、既に対面での学会報告(日本商業学会第73回全国研究大会)も予定しており、2022年度の計画で未達の部分を織り込みながら予算についても適切に使用する予定である。
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