2023 Fiscal Year Annual Research Report
TRIPS協定後の製薬産業のグローバル・バリューチェーン戦略ーインドを事例として
Project/Area Number |
19K01834
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
上池 あつ子 中央学院大学, 商学部, 准教授 (40570578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グローバル・バリューチェーン / インド製薬産業 / 吸収能力 / アウトソーシング / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、グジャラート州アフマダーバード市において、インド大手製薬企業2社の輸出向け製造拠点において工場調査を実施した。アフマダーバード市周辺には、医薬品の製造設備及び製造機械を製造する機械メーカーも集積していることが分かった。バイオシミラーの需要増加に伴い、注射剤の製造施設の建設が増加していることが分かった。2020、2021年度は新型コロナウイルス感染症の流行によりインドに渡航ができなかったため、インドの企業財務データベースであるProwess IQを使用し、インド企業の業績分析を行った。2020年度は、人的資源開発に焦点を当て、インドのフィニッシングスクール制度の研究を行った。2021年度は、インドの課題として中国への過度な原薬・中間体の輸入依存を明らかにした。特に発酵技術を使用する抗生物質原薬および中間体の輸入依存は深刻であり、インドの原薬産業の競争優位を再構築するために、発酵技術先進国からの技術移転の必要性があることを明らかにし、原薬産業の競争優位を高めることで、グローバル・バリューチェーンにおけるインドの支配力の強化を図ることが可能であることを示した。 2023年2月にカルナータカ州ベンガル―ル市において、インドのアウトソーシング事業の実態調査を行い、アウトソーシング事業には吸収能力の高さが重要であることを確認した。また、アウトソーシング専業企業の業績が好調であることも判明し、アウトソーシング事業の可能性を再度検討する必要があることを確認した。そして2023年度は、8月にマハーラーシュトラ州ムンバイ市で、原薬ビジネスおよび開発製造受託企業へのインタビュー調査を実施した。原薬メーカーの技術力は高く、競争力も高い。ボトルネックとして、出発物質となる化学製品の多くが中国の輸入に依存している点、発酵技術の普及が十分でないことなどが分かった。
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[Book] 経済大国インドの機会と挑戦2023
Author(s)
佐藤隆広 , 深澤光樹 , 下門直人 , 絵所秀紀 , 宇根義己 , 長田華子 , 上池あつ子 , 石上悦郎 , 上野正樹 , 三嶋恒平 , 西尾圭一郎 , 内川秀二 , 鍬塚賢太郎 , 福味敦 , 加藤篤史
Total Pages
520
Publisher
白桃書房
ISBN
9784561961413