2019 Fiscal Year Research-status Report
後発企業効果をめぐる長短期パターンの比較研究ー医薬品業界と食品業界を中心にー
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19K01842
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久保 文克 中央大学, 商学部, 教授 (00256017)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 後発企業効果 / 後発企業 / トップ企業 / トップ逆転 / キャッチアップ / 研究開発 / 起爆商品 / 後発企業の壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
後発企業効果の分析フレームワークに基づき、医薬品業界の11市場(完了した脳代謝賦活剤と不整脈治療剤を除く、高脂血症治療剤、冠血管拡張剤、マイナーストランキライザー、インターフェロン製剤、鎮咳去痰剤、制ガン剤、抗炎症剤、制吐剤、消化性潰瘍用剤、糖尿病治療剤、催眠鎮静剤)と医薬品に次いで多い食品業界の8市場(風味調味料、即席袋麺、ウスターソース、レトルトカレー、ビスケット類、缶コーヒー、発酵乳、味噌)について可能な限り事例研究を行う予定であった。 その際、停滞期を除くと、10年以下でトップ企業を逆転する短期パターンが全体の実に81.2%を占めていたことから、31年以上を要した長期パターンとの比較を通して、短期パターンが多い要因を解明していくが、とりわけ注目すべきは、市場参入前に準備されたヒット商品と停滞期を脱する契機をもたらした起爆商品の研究開発プロセスである。 後述するように、医薬品薬品業界の重要機関誌である『国際医薬品情報』のバックナンバー15年分が入手可能となったため、PC購入費分もすべて充当することで入手し、膨大なデータと情報を整理する作業を優先した。その結果、当初予定していた医薬品業界の6市場の事例研究が遅れ気味になっているが、最終年度となる2020年度は本研究に集中できる環境も整えられていることからも、高脂血症治療剤、冠血管拡張剤、マイナーストランキライザーの各市場に加え、インターフェロン製剤、鎮咳去痰剤、制ガン剤の3市場に関しても、可能な限り実施していきたい。 そして、業界間の比較も重視する観点から、食品業界の2市場(ウスターソース、ビスケット類)についても、食品業界特有の消費者の壁をいかに克服していったのか、ヒット商品や起爆商品の開発プロセスに注目して明らかにしていくが、この論点は医薬品業界とも共通することから、研究開発の期間やタイミングも重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように、『国際医薬品情報』を過去15年前に遡って入手し、データと情報を整理してきたため、申請時よりも資料面では充実したものの、個別事例研究の進捗が遅れ気味になっている。 しかし、このデータ整理が完成した暁には、2年分6つの医薬品市場(高脂血症治療剤、冠血管拡張剤、マイナーストランキライザー、インターフェロン製剤、鎮咳去痰剤、制ガン剤)の事例研究がスムーズに進捗する予定である。 また、比較対象となる食品業界の2つの市場(ウスターソース、ビスケット類)については、すでに分析を奨めていることから、医薬品市場との比較もスムーズに行くと考えている。 なお、進捗状況が遅れ気味になっているもう1つの理由として、3冊目の単著『戦前日本製糖業の史的研究』を夏までに出版するため、その編集作業と最終推敲作業に時間を要したこともあるが、この作業は完了したことから、上述した今後の研究計画は実行できるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
15年分の整理したデータ及び情報に基づき、医薬品市場の6市場(高脂血症治療剤、冠血管拡張剤、マイナーストランキライザー、インターフェロン製剤、鎮咳去痰剤、制ガン剤)の事例研究を可能な限り実施し、すでに着手している食品産業の2市場(ウスターソース、ビスケット類)の事例研究と比較していきたい。 なお、医薬品市場に関しては、最悪の場合でも、4市場(高脂血症治療剤、冠血管拡張剤、マイナーストランキライザー、鎮咳去痰剤)については、最低限終わらせる予定である。 そして、食品業界の2市場(ウスターソース、ビスケット類)との比較を通して、研究開発プロセスとヒット商品や起爆商品との関係について、研究開発期間の違いや商品発売のタイミングとも関連づけ、分析を深めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
『国際医薬品情報』の過去15年分のバックナンバーが入手可能となったため、申請時に購入予定であったノートPC購入費用もすべて充当し、購入することになった。膨大なデータと情報を整理するに多くの時間を要する関係上、購入時期を早める必要があったため、自然分の予算の一部を前倒しした次第である。
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Research Products
(1 results)