2020 Fiscal Year Research-status Report
Business failures prediction by the machine learning
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19K01843
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大槻 明 日本大学, 経済学部, 教授 (30527833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 企業倒産予測 / 時系列データ分析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,財務諸表時系列データから特徴量を抽出する手法について研究開発し.この手法により得られた特徴量を機械学習に応用することで企業倒産予測を行うモデルについて研究開発することである.従来の企業倒産予測モデルでは,判別分析やロジスティク回帰分析などを用いて財務諸表データを分析することにより,「倒産する,しない」の2値を予測する先行研究が多い.しかし,「何が原因で倒産しそうなのか?」という理由が分からなければ企業は対策の打ちようが無い.ゆえに本研究では,倒産企業の時系列財務諸表データで機械学習し,その学習モデルで非倒産企業の財務諸表を分析することで,倒産する,しない,の予測だけでなく,倒産の原因になり得る財務状態についても明らかにすることができるモデルを研究開発した. 2020年度の主な研究概要は以下の通りである.まず,倒産・非倒産企業の直近5年分の財務諸表時系列データを収集した.そして,この財務諸表時系列データから特徴量を抽出する手法を研究開発した.この手法は,まず5年分の財務諸表データから,年度ごとの変化率を計4年分求め,この4年分の変化率から特徴量を抽出する指標として,「①4年分の変化率の平均値」,「②負の変化率の絶対値の最小値」,「③負の変化率の絶対値の最大値」,「④負の変化率の合計値」,「⑤4年前と最終年の年換算の変化率」という5つの指標を比較検討し,変化率の差が大きい倒産企業のケースにおいて,負の変化率の最大値を取得できていたのは「③負の変化率の絶対の最大値」であったためこの値を代表値として用いることとした.そして,この代表値を倒産評価指標(説明変数)ごとに求め,こられの代表値をインプットデータとする機械学習(クラスタリング)モデルを研究開発した. 以上に示した研究成果を論文としてまとめて,情報処理学会第83回全国大会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,これまでの研究成果を論文としてまとめて,以下の論文で情報処理学会第83回全国大会において発表を行った. 「大槻明,鳴海祥平,川村雅義 :時系列財務諸表データの特徴量を用いた機械学習による企業倒産予測モデル,情報処理学会第83回全国大会,2021.」 この論文は,財務諸表時系列データから特徴量を抽出する手法や,この手法により得られた特徴量を元に機械学習するモデル,さらにこのモデルを用いた倒産予測モデルについての研究成果をまとめたものであるため,本研究の目的達成のために重要な研究成果である.さらに,この学会発表時に指摘された改善事項を元に,現在必要な改定を行っており,この改定作業が終了次第,学術論文誌に投稿する予定である.以上のような状況から研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の学会発表時に指摘された改善事項を元に現在必要な改定を行っており,この改定作業が終了次第,学術論文誌に投稿する予定である. また,2020年度は本モデルの有効性検証に主眼を置いていたことから分析対象の倒産・非倒産企業の財務データ件数はそれぞれ100件ずつであったが,今後はこの件数をさらに増やして実運用を想定した実証実験を行っていきたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額19,000円は2020年度の眇々たる残額であり,この残額は2021年度における研究成果の発表において使用する予定である.
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