2019 Fiscal Year Research-status Report
知的財産マネジメントが国際的な研究開発に果たす役割に関する研究
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19K01852
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西村 成弘 関西大学, 商学部, 教授 (70511723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知的財産マネジメント / 国際特許出願 / マルコーニ / 研究開発 / 無線通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が事例分析の対象としているRCAは、GEが1919年にアメリカン・マルコーニ社を買収することによって設立された。本年度においては、(1)アメリカン・マルコーニ社の親会社であるイギリス・マルコーニ社における1919年までの無線技術開発およびグローバルな特許出願について、(2)1920・1930年代におけるイギリス・マルコーニ社の研究開発組織とグローバルな特許出願の展開について明らかにした。 (1)では、70か国以上に及ぶイギリス・マルコーニ社の国際特許出願とそのような特許出願の下で行われた国際的な技術移転は、無線技術の持つネットワーク外部性およびイギリスの帝国戦略に規定されたものであったことを明らかにした。また(2)では、イギリス・マルコーニ社がRCAの研究成果と特許を得つつグローバルな特許出願を継続・拡大していることを明らかにした。これら本年度の研究により明らかにされた事実は、どのようにグローバルな技術移転が組織され、各国においてそれらがどのように研究開発に結び付いているのか、国際的な技術開発と普及に対して特許管理がどのように貢献しているのかを考察するうえで、一つの説得力のある根拠を提供するものであると考える。 なお、本年度の研究は、いずれも、オックスフォード大学ボドリアン図書館に所蔵されているマルコーニ文書(主として特許台帳)の調査・収集および分析によって行った。上述の研究の成果は、イギリス経営史学会(ABH)およびアメリカ経営史学会(BHC)の年次大会において発表し、国際的な議論に付した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オックスフォード大学ボドリアン図書館における文献調査、収集した資料の分析はほぼ計画通り行うことができた。またアメリカ経営史学会における研究発表も、新型コロナウィルス感染症対策としての渡航禁止の前であったため、実行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、本年度の前半はアメリカおよびイギリスにおける現地文献調査が困難となっている。本年度までに収集した資料の更なる読み込みにより、研究を進める予定である。具体的には、収集した特許台帳など未整理な部分が多いので、台帳等に基づくデータ整理に重点を置く。同時に、必要となる資料についても本年度前半の研究において明確にし、海外渡航が可能となった場合、迅速かつコンパクトに調査を行う予定である。
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Research Products
(3 results)