2021 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産マネジメントが国際的な研究開発に果たす役割に関する研究
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19K01852
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西村 成弘 関西大学, 商学部, 教授 (70511723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知的財産マネジメント / 特許管理 / 研究開発 / マルコーニ / RCA / ジーメンス |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバルな研究開発の促進に対して知的財産マネジメントが果たす役割を明らかにするため、本研究はイギリス・マルコーニ社およびアメリカのRCAの事例研究を行ってきた。本年度においても、新型コロナ禍以前にイギリスおよびアメリカの文書館で調査・収集した資料に加え、ウェブ上の公的データベースから収集した特許書誌情報を分析して研究を進めた。イギリス・マルコーニ社は当初よりイギリス帝国内を中心に広く国際特許出願を行っており、特許管理を通して無線通信ネットワークの優位性を維持しようとしていた。他方、RCAが本格的に特許管理と研究開発を結び付けるようになったのは、1930年代にGEから独立し独自に研究開発を行うようになってからであった。RCAの特許管理の事例からは、国際的な技術移転のコントロールと、内部技術市場のコントロールの2つの機能を析出することができた。これらの研究成果は学術論文としてまとめ、刊行した。 英米企業の事例に加えて、同様のアプローチから、ドイツ・ジーメンス社の日本における知的財産マネジメントがグローバルな研究開発の促進に与えた影響について分析を行った。合弁会社である富士電機製造を通して行われた特許管理は、ドイツの技術を日本側が吸収するとともに日本の条件に適合的な技術の開発を促進するものであった。この研究成果は学術論文として学会誌に採択され、刊行された。 また、本年度も新型コロナ禍により予定していた海外における文書調査を行うことはできなかったが、昨年度に引き続き戦前日本の特許書誌に関するデータベース構築を行い、マクロな観点から国際技術移転と研究開発の促進について分析を進めるための基盤形成を行った。データベースを用いた分析結果の一部は関連学会で報告を行った。さらに今後開催が予定されている国際学会においても報告を行い、研究を発展させていきたい。
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Research Products
(7 results)